2008年のサミット開催地を北海道・洞爺湖に決めたのは第1次政権時の安倍晋三首相だった。しかし安倍氏はそれからほどなくして政権を放り出して退任し、洞爺湖で各国首脳を出迎えたのは後任の福田康夫氏だった。
あれから7年、奇しくも2016年サミットの開催地選定はまたも安倍首相の手に委ねられた。しかし、時が過ぎ政権交代を経ても自民党の「金権政治」の根深さは変わらない。サミットの「巨大利権」を巡る誘致合戦もデジャビュの感がある。
国会論戦の裏では「300億円利権争奪戦」が繰り広げられている。2016年夏に日本で開催される主要国首脳会議(サミット)の開催地を巡って、自民党議員や支持団体が「我が地元に」とあの手この手で群がっている。
サミット開催は基本的に3日間だが、開催都市に落ちるカネは莫大だ。
2008年の洞爺湖サミットでは各国首脳が会場の「ザ・ウィンザーホテル洞爺」に宿泊し、60回を超える2国間協議から晩餐会まで1か所で行なう集中型だったが、仮設プレスセンターの建設・解体費の120億円をはじめ、警備費用、札幌・千歳空港の貴賓室増設など総額約262億円の税金が投じられた。
サミット史上最高額が充てられたのが2000年の沖縄だ。全国から派遣された警察官の宿泊施設建設など警備費用だけで320億円。メーン会場の万国津梁館やプレスセンターの建設、4000人の記者に高級カバンとボイスレコーダーの「プレスキット」をプレゼントするなど開催費用に814億円が投入された。
「無駄遣い批判が起きた沖縄サミットはともかく、洞爺湖サミットでは地元議員や自治体から“十分な経済効果がなかった”と反発を浴びた。その反省を踏まえれば、2016年は洞爺湖のような集中型にはならない。少なく見積もっても300億円以上の予算が組まれるだろう」(自民党中堅)
※週刊ポスト2015年3月6日号