中国広東省深セン市の製紙工場で、香港政府トップの梁振英・行政長官の似顔絵が描かれたトイレットペーパー7600ロールとティッシュ2万箱が中国警察当局によって押収される事件があった。このトイレットペーパーとティッシュには梁氏をゾンビに見立てたり、顔を犬に似せたほか、梁氏が口を開けて惚けた表情などコミカルに描かれている。
梁氏ら親中派と対立する香港民主派グループが工場に発注したもので、19日から始まった春節(旧正月)用に販売を予定していたが、損害額は30万香港ドル(約1000万円)にも及ぶ。このため、民主派側は中国政府に正式に抗議したが、何の反応もないという。
梁氏の顔が描かれたトイレットペーパーやティッシュが製造されたのは昨年が初めてで、トイレットペーパーやティッシュが4000個も売れ、10万香港ドル(約150万円)もの利益を上げた。このため、民主派が味を占めて、「活動資金にしよう」と今年は4倍もの量を発注。しかし、情報が中国側に漏れて中国の警察部隊が「検査」と称して工場を急襲し、トイレットペーパーなど完成品を持ち去ってしまったという。
これは、自身の顔をトイレットペーパーなどに描かれるという屈辱を味わった梁氏が直々に中国側に捜査を要請したとされる。
収まらないのは民主派グループで、「最近の香港の政治的な行き詰まりを作ったのは明らかに梁長官の政治的失策だ。我々はこのようなメッセージを込めて、トイレットペーパーやティッシュを作り、梁氏は辞任すべきであると市民に訴えようとしたのだ」と指摘したうえで、中国政府や香港政府に「表現の自由の侵害だ」などと抗議したことを明らかにした。
これに対して、ネット上では「梁振英の日頃の失政は目に余るものがある」との声も出ている一方で、民主派側に対しても「何という子供っぽいやり方。香港で民主化が成熟していないことを示すようなもので、政治的にもっと成熟した民主主義的な方法をとるべきだ」や「トイレットペーパーやティッシュばかり作っていないで、もっと市民の支持を広げることができる政治手法があるはずだ」などと批判的な声も多い。