2月12日、イスラム国の電子機関紙『ダビク』が日本をターゲットにすることを宣言した。現在、中央省庁への見回り警備などを強化しているが、テロの標的として日本の公安当局が警戒するのは、イスラム国掃討作戦を継続中の有志連合を主導する米軍の国内関連施設である。
基地の警備は平時から厳重でテロの標的としては実行困難な「ハードターゲット」だ。そのため比較的警備が手薄な「ソフトターゲット」である山中の米軍関連通信施設が要注意対象に挙がっているという。
ただしアメリカ側が考える警戒対象は別にある。東京・港区のアメリカ大使館だ。米軍関係者が話す。
「大使館の中には、CIA情報総局傘下の『中近東分析室』がある。南アジアも含む中近東情勢やイスラム過激派組織に関する情報解析を担当するアナリストのチームだ。中東での軍事行動に参加しない日本に置くことで、情報収集の対象組織からの盗聴などスパイ工作をかわせるメリットがあった。しかしすでに同室の存在は過激派組織にも知られている。今後は警戒が必要だろう」
虎ノ門にある同大使館周辺には、欧米系企業が入居する複合商業施設や、国内外のビジネスマンが利用することで知られる有名ホテルなど、人が多く集まる施設が集中している。人質事件以降、虎ノ門界隈は緊張が高まっているという。在日米軍幹部の関連先も警戒対象だ。公安関係者がいう。
「イスラム国のサイバーチームがフェイスブックなどSNSを調べたりハッキングしたりして世界中の米軍幹部の自宅や家族関係を調査しているという情報を、ある欧州の国軍が掴んだ。在日米軍も日本の公安も関係先を警戒している」
※週刊ポスト2015年3月6日号