国際情報

米大手金融機関 中国商務相の息子コネ採用し司法当局が調査

 米大手金融機関のJPモルガン・チェースが中国の高虎城・商務相の息子(32)を縁故で採用したとの疑いで、米司法当局の取り調べを受けていることが分かった。ロイター通信が報じた。

 高氏の息子は、同社の面接担当者から「過去最悪の応募者」とみなされたが、当時の同社最高幹部で、のちにオバマ政権の大統領首席補佐官に就任したウィリアム・デイリー氏が強力に推薦したことから、2007年に採用されたという。いまのところデイリー氏に嫌疑が及ぶかどうかは不明。

 この息子は採用試験の成績や面接の受け答えも悪く、採用担当者は「未熟、無責任、信頼できない」と評価。ところが、2004年から2010年まで同社の最高幹部を務めていたデイリー氏がこの息子の採用を強く指示したため、採用担当者は採用せざるを得なかった。

 デイリー氏はクリントン政権時代(1991~2001年)の1997年1月から2000年7月まで商務長官を務めており、その縁で中国の高商務相とは旧知の間柄。デイリー氏は2006年7月、北京で高氏と会った際、高氏から息子の採用を依頼されたという。

 この息子は同社に採用されたあともミスが目立ち、就労ビザを更新しないなど、リストラリストに載せられたが、高氏が同社に便宜を図ることを確約したことで、クビにならずにすんだという。2年間、同社で勤務したあと、他の金融機関を経て、米大手ゴールドマン・サックスに採用された。

 米司法省と米証券取引委員会(SEC)は2013年8月、JPモルガンなどの銀行による中国要人の子女採用で、国外の政府高官への贈賄を禁じた米国の海外腐敗行為防止法違反の疑いがもたれているという。

 中国では就職の際、コネはなかば当たり前で、国家エネルギー局は昨年末、職員の子女の縁故採用を禁じる通達を出したばかりだが、今回のケースのように大臣が直接、米企業の経営幹部に息子の採用を依頼する例が明らかになったのは初めて。

 インターネット上では「高虎城のように、自分の身内の利害ばかり考えて、国家の利益を省みない大臣が多すぎる」と中国の政府高官の自堕落さを嘆くと同時に、「アメリカは能力主義で、成績第一で公正だといわれるが、その実態は中国と同じくコネ社会で、腐敗が蔓延していることがよく分かった」と米国社会を批判するコメントも目立っている。

関連キーワード

関連記事

トピックス

歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン