受信料の先細りや新社屋建て替えで巨額事業費が必要になることから、NHKがネット受信料徴収の検討を本格化させている。
国民から猛反発を受けそうな計画でもNHKが強気でいられるのは、安倍官邸との「強い絆」があるからではないか。幹部局員が明かす。
「世間や野党からはサンドバッグのように叩かれている籾井勝人会長ですが、官邸との関係は非常に良好です。官邸中枢にも常に連絡できるホットラインがある。いまのNHKの経営方針も、菅義偉・官房長官が総務大臣時代に掲げた改革案を踏襲したものが多い」
第1次安倍内閣で総務大臣を務めた菅氏が提唱した「番組アーカイブのネット有料配信」と「国際放送の強化」についていえば、前者はすでに実施され、後者は今回の経営計画にしっかり盛り込まれている。
安倍官邸とNHKの蜜月を示す証拠は他にもある。昨年3月、NHK内に「NHK関連団体ガバナンス調査委員会」が設置された。同委員会は2013年に発覚した関連団体「NHK出版」の架空外注費事件など、関連団体で続発した不祥事に関する再発防止策などを検討するため発足した第三者委員会だ。
その委員長に就任したのは元NHK経営委員の小林英明・弁護士。
「委員会は籾井会長が突然、立ち上げると言い出して、すぐに公表された。小林委員長の人選も会長と会長に近い理事で決めたもので、会長は“以前からの知り合いだからお願いした”と説明した。小林さんは籾井会長が社長を務めていた日本ユニシスの顧問弁護士を務めてきた人物。
ある理事が、“他の委員はどうするんですか?”と聞くと、“小林さんに一任する”と一言。その結果、他の2人の委員には小林さんが所属する事務所の弁護士が就いた」(前出の幹部)
小林弁護士は安倍晋三首相とも「以前からの知り合い」である。かつて安倍氏は月刊誌『 の真相』(2003年2月号。2004年休刊)の記事で名誉を傷つけられたとして提訴。この訴訟は2004年に和解が成立したが、この時に安倍氏の代理人弁護士を務めたのが小林氏だ。さらにいえば、2007年に小林氏をNHKの経営委員に任命したのも当時の安倍首相であり、安倍氏の「おトモダチ」の1人なのだ。
同委員会は昨年8月に調査を終え、籾井会長に報告書を提出した。が、肝心の調査報告は要旨が公開されただけで、全文は非公開になっている。
※週刊ポスト2015年3月13日号