「尿漏れ」に悩まされている中高年男性は多い。根本的な克服が難しい尿漏れの対策は、“対処療法”が中心となる。
軽度の尿漏れである「排尿後尿滴下」の場合は、小用時のひと手間でかなり改善されるという。極めて単純な話だが、尿道に尿が残っているなら、それを出し切ればよい。「オシッコした後にペニスをしっかり振っている」という人は多いだろうが、それでは不十分だ。
男性の尿道は女性より長いため、尿が貯まっているのはペニスの中ではなく肛門の前方、陰嚢の後ろ部分の尿道である。そこから尿を押し出す必要がある。陰嚢の後ろに数本の指をあて、前方にこするように引きながら、尿を絞り出すとよい。田谷泌尿器科医院の金谷二郎・副院長はこう話す。
「陰茎だけをこすっても、残尿は解消されません。私自身も実践していますが、きちんと根元から残っている尿を絞り出すことで、ほとんどの人は尿漏れを防げます」
続いては筋力の低下による「切迫性尿失禁」や「腹圧性尿失禁」のケース。こちらは膀胱から尿道に尿が流れるのを止める筋肉を鍛える。その筋トレが「骨盤底筋体操」だ。日本大学医学部泌尿器科学分野主任教授の高橋悟氏がいう。
「やり方は簡単です。仰向けに寝た状態や椅子に座った状態で、肛門を締めるイメージで約10秒止める。それを3回繰り返した後、今度は3秒くらいの速いテンポで締めたり緩めたりを10回繰り返す。これを1セットとして、1日5セットを目安に毎日行ないます」
注意点は、体操中に呼吸を止めないことと、お腹に力を入れないこと。初めは腹に手を当てて、腹筋に力が入っていないことを確かめながらやるといいとのことだ。
※週刊ポスト2015年3月13日号