中国の金満ぶりは盛んに喧伝されるが、実態を危ぶむ声もある。現地の情勢に詳しい拓殖大学教授の富坂聰氏が指摘する。
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中国が春節の休みを終えて、世界各地でその”爆買い”の様子が話題を集めた。相変わらず旺盛な消費を見せつけられた世界は中国経済の影響力を意識させられたのだが、一方で中国経済に付きまとうのは、景気減速への警告だ。
いったいどちらの中国が実像なのか。悲観と楽観の情報が入り混じるなか、常に話題となるのが中国の統計に対する不信感である。古くから国の発表するGDPに手が加えられているとの疑惑は根強くあった。
事実、各省別のGDPの総和が国の統計を上回るという問題は常に中国にはつきまとってきた。
そんななか数字の不信感の源泉となっている水増し統計を象徴する事件が起き、全国的な騒ぎとなった。
問題の舞台となった土地は、湖南省の衡山県。人口40万人の小さな県だ。問題が発覚したきっかけは、国家統計局の統計執法検査室が半年かけて行った同県に対する検査(2013年分)である。
検査の結果は、今年2月14日付で新華社が湖南省長沙発の記事で報じている。それによると〈関連する39社が報告した2013年の工業生産額の総計は44億元(約836億円)とされていたのだが、検査の結果それはわずかに5億8000万元(約110億円)で、その差が38億2000万元(約726億円)となった〉というのだ。実に7倍以上も実態を水増ししていたことになる。
営業利益も〈1億1000万元(約21億円)を7億8000万元(148億円)と報告していた〉というから悪質である。
大きなニュースになったケースなので特別悪質だと考えるべきが、これが衡山県だけの問題であるはずはない。
統計の問題は年々解消されているとはいえ、中国の奥深さを考えると、簡単に全体が変わると考えるのも、あまりに楽観的すぎるのではないだろうか。