中国の習近平・国家主席が最高責任者を務める中央改革全面深化指導小組(グループ)は2月28日、習氏が掲げる「中国の夢」実現のためには、サッカーの振興は不可欠として、「サッカーの全面改革方案」を会議の第1のテーマとして採択した。同グループは政治や経済、法制などの重要分野の改革を討議する場だけに、サッカー改革が議題に上るのは極めて異例。
習氏のサッカー好きはよく知られており、その意向が強く働いているのは確実だが、ネット上では「サッカーよりも、下降気味の経済対策をもっとしっかりとすべきだ」との声が出ている。
会議では「中国の夢」とサッカー改革の関連性について、「中国の夢を実現するには、中国がスポーツ強国になることと密接な関係がある。さらに、そのためには、サッカーが強くなることがスポーツ強国になる必然的な要求であり、中国の全国民がそれを熱望している」と説明している。
国営新華社電などはサッカー改革の具体的な内容については触れていないが、習氏が会議で重要講話を行なったことを明らかにしており、サッカー改革についても言及したとみられる。
習氏は会議の2日後の3月2日、北京を訪問中の英国のウィリアム王子と会談した際、サッカーについて触れ、「中国サッカーは英国を含む世界の強豪国に学びたい」と述べたうえで、中国サッカー・スーパーリーグと英国のプレミアリーグとの交流を通じて、中国サッカーが強くなることに期待を表明。ウィリアム王子も「多くの中国人選手がイングランド・プレミアリーグでプレーすることを期待している」と語り、交流に積極的な姿勢を示した。
習氏は2009年10月にドイツを訪問した際、会見した製薬会社「バイエル」のヴエルナー・ヴェニング社長に、「サッカーのレベルアップには長い時間がかかっても、中国チームをワールドカップで優勝させることが私の夢だ」と語っており、この発言中の「私の夢」を「中国の夢」に置き換えれば、今回の「中国サッカーの全面改革方案」が習氏のイニシアチブで提案されたことは間違いないだろう。
しかし、これについてネット上では「中国の夢を実現させるためには、サッカー改革よりも、もっと重要な改革があるはずだ。庶民が最も望んでいるのは所得格差の解消であり、環境汚染の解決だ。庶民の生活が上向いて住みよい社会ができれば、サッカーなんて自然に強くなるのではないか」との硬派な書き込みがみられている。