1950年以降、M9クラスの地震は世界で7回起きているが、そのうち6つの地震では4年以内に近隣の複数の火山が噴火している。例外は東日本大震災でこれを除けば、確率は100%になる。
東日本大震災との“連動”の危険性が最も高いのはどの火山なのか。過去の6地震では、噴火した火山の半数以上が震源から約400キロ圏内にある。東日本大震災の震源から見て、東北地方の山である可能性が最も高いと考えるのが自然だ。その兆候はすでに現われている。
気象庁は2月24日に発表した資料で、東北地方にある11の活火山のうち4火山について、火山活動の推移に注意を呼びかけた。4火山とは八甲田山、秋田駒ヶ岳、蔵王山、吾妻(あずま)山だ。
八甲田山では2013年から地下のマグマの蓄積を示す地殻変動が見られ、山頂付近の地震活動が続く。秋田駒ヶ岳では地表面の温度が高い地熱域の活動が続き、植物が枯れるなどの現象も起きている。蔵王山では2014年8月以降、火山性微動(※注)が断続的に発生し、現在も頻発している。
【※注】火山性微動は数分から数時間揺れが続くもので、地震とは異なりマグマや水蒸気の移動などによって起こる振動を指す。火山性地震とは火山およびその周辺で発生する地震のこと。
特に警戒が必要なのは吾妻山だという。
「吾妻山は昨年12月12日に継続時間の長い火山性微動が発生し、噴火警戒レベルを2(火口周辺規制)に引き上げました。レベル2というのは東北では初めてのことです。1月14日には1日に193回もの地震が発生し、1月は744回にのぼりました。ともに1998年11月以降で最多です」(仙台管区気象台地震火山課火山監視・情報センター)
御嶽山が噴火する前の警戒レベルも「2」だった。すでに東北4山周辺のホテルや旅館ではキャンセルが相次ぎ、「商売あがったり。風評被害だ」と訴えるホテル関係者もいる。毎年5月に蔵王山周辺で催されている自転車ロードレース『日本の蔵王ヒルクライム・エコ2015』も今年1月に中止が決定した。
しかし、警戒には十分な妥当性がある。観光への悪影響を懸念して地元住民たちの口は重いが、彼らも“異変”は認識している。
「2週間ほど前のことだが、普段は火口からの蒸気は1本なのに、2本の蒸気が上がっていた。2月17日に岩手県沖で最大震度5強の地震があったこともあり、みんな不安を感じている」(秋田駒ヶ岳の周辺住民)
※週刊ポスト2015年3月20日号