1200年以上の歴史を誇る京都・平野神社。古くからの花見の名所には、現在も約50種400本の桜が植えられ、3月末から4月初めの見頃には大勢の花見客が訪れる。
だが、神社で屋台を出す店主によれば、近年は中国人観光客が大量に押し寄せ、何も買わずに場所を占領して飲食をしたり、ゴミを持ち帰らなかったりとマナーの悪さに困っているという。
旅行者のブログなどを通じて日本の花見スタイルが知られるようになり、今年も平野神社のように長時間居座っての“爆飲み”が増えると考えられる。問題はやはりマナーが追いついていない点だ。
「中国国内での花見でも紙くずや果物の皮を放ったままにしたり、桜の枝を折ったりすることが問題視されてきました。記念撮影の時には桜の枝を無造作に引っ張る行為も目立つ。旅先で酒が入ればさらに素行は悪くなるだろう」(上海の日本企業駐在員)
現地メディアでは日本の「桜の名所」を紹介する記事が増えている。
中国の写真系ニュース通信社『東方IC』は今年3月4日、「日本の十大花見スポット」として東京・上野公園、大阪・造幣局桜華通、京都・平野神社、秋田・角館、奈良・吉野山、青森・弘前公園、熊本・阿蘇山一心行大桜、熊本城、長野・高遠城址公園、京都・清水寺を取り上げた。
本来であれば歓迎すべき話だが、ここで名前を挙げられた平野神社の関係者は表情を曇らせる。
「とくに困るのがトイレです。汚く使うだけでなく、トイレットペーパーを持って帰ってしまうんです。去年は一時、トイレに置いたペーパーがすべて消えたことがありました。日本製は品質がいいと評判だそうですが、あまりに常識がない」
中国人観光客の「トイレ問題」はこれまでも各地で騒動の種となってきた。都内の花見名所として知られるある公園の管理事務所スタッフはこう語る。
「用を足した後に流さない、紙を流すのでなくゴミ箱に捨ててしまうといったトラブルは当たり前。つい先日も銀座で子供に立ち小便させる中国人女性がいたとネット上で話題になりましたが、中国国内では当たり前のことなのでしょう。
花見シーズンの仮設トイレは行列ができます。昨年も目撃情報はありましたが、並ぶのが面倒くさいとあちこちで放尿されたら、周りの人は桜を楽しむどころではありませんよ」
700本以上の桜が並ぶ上野公園では、外国人花見客向けにゴミの持ち帰りなどのマナー向上を呼びかける「お花見5つのルール」を書いたシールを配布しているが、「今年は英語版に加えて、中国語表記も作ることを検討している」(上野公園を管理する東部公園緑地事務所)という。
※週刊ポスト2015年3月27日号