大正14年に発売されたキユーピーマヨネーズ。当時は高級品として珍重され、デパートのみでの販売だった。今では国民的調味料となった、キユーピーマヨネーズの歴史を紐解いてみよう。
創始者の中島董一郎氏が1915年に農商務省(現在の農林水産省と経済産業省)の海外実業練習生としてアメリカに渡り、出合ったのがマヨネーズだった。
「中島はアメリカ人の体格の良さはマヨネーズを食べているのが一因と思ったそうです。アメリカのマヨネーズは黄身も白身も使う全卵タイプが主流でした。中島は、日本人の体格を向上させたいという思いから、栄養価の高い卵黄のみを使った国産初のマヨネーズを作りました」(キユーピー広報部・田中友紀さん)
今もキユーピーのマヨネーズは卵黄のみを使っている。発売当時の日本には生野菜を食べる食文化がなかったため、サケやホタテなどの魚介類につけるソースとして売り出した。試食販売も行った。
「初年度は600kgしか売れませんでした。マヨネーズは日本人にはなじみがなかったので、整髪料のポマードと間違えて髪に塗ってしまったかたもいたそうです」(田中さん)
マヨネーズの製造を始めた頃、子供たちに絶大な人気を誇っていたのがセルロイド製のキューピー人形だった。
「キューピー人形のように広く愛される商品に育ってほしいと『キユーピー』を使い始めました。英語でも日本語でも簡単に書けるというのも採用した理由のひとつです」(田中さん)
注目すべきは、「キューピー」ではなく、「キユーピー」であること。
「『ユ』が大文字なのは、デザイン上の理由です。横書きした時にユだけ凹んでしまうのがデザイン的に美しくないから、『ユ』を大きくしたんです」(田中さん)
※女性セブン2015年4月2日号