好きなファッションがあることはいいことだが、こだわりすぎると“化石化”してしまうという。その理由について、ファッションアドバイザーの植松晃士さんが解説してくれました。
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さて以前、「長い間、延々と同じイメージの装いを着続けている女性は、本当に残念」とお話ししましたが、これについてさまざまなご質問を受けました。
代表的なものは、「自分にいちばん似合うスタイルにこだわるのは、悪いことじゃないでしょう?」というもの。もちろん、本当に似合っていれば問題ありません。でも、それが自分だけの「思い込み」だとしたら?
自分のスタイルを持つのは素敵なことですが、こだわりすぎると、ファッションの化石化、シーラカンス化が起こります。「思い込み」で、毎日似合わないスタイルを着続けていたら、その人は他人には「毎日、素敵じゃない人」と認識されます。
でも、ちょっと違うテイストの洋服を着て、目先を変えられたら、もちろん「今日は凡打」の日もあります。でも、「今日はホームラン!」という日も、まさかの「ランニングホームラン!」だって起こる可能性があるんです。
ファッションの化石化は、「頭の中の7割が食べること、2割は寝ること、残りは人のうわさ」で占めているような女性に多く見られます。
私はいつもこういうかたに、「習い事してみたら?」とおすすめしています。実は私自身、ここ数年続けているピアノの他に、遂にフラワーアレンジメントを習い始めました。
お花の名前を覚えたり、一輪の花の、つぼみから散るまでの過程をゆったりと見守ったり。あるいは教室に集まる生徒同士、無言のファッションチェックを繰り広げたり。
大勢の人と交わることで、話題の選び方など、毎回、何かしらの気づきがあってとても新鮮です。「学ぶ」ことで、人生が深く、豊かになっていくのを実感します。
私の知人にも、最近、着付けを習って着物デビューしたかたがいらっしゃるのですが「着物を着ているだけで周囲から褒められるし、世の中がまるで違って見えるのよ」ですって。
こうして周囲におだてられて、するするっと木に登り、目の覚めるような派手な着物を新調したとか…。こういうワクワク感はとても大事。女性が若さをキープする秘訣のひとつです。
※女性セブン2015年4月9日・4月16日号