東京きっての花見の名所で、家電製品などの“爆買い”スポット・秋葉原にも近い上野公園には今年の花見シーズン、大勢の中国人観光客が訪れた。
「中国にも桜の名所はあるが、こんなに見事な場所はない。わざわざ来た甲斐があったよ」
と、日本の美しさを堪能してご満悦だったのは喜ばしいのだが、居合わせた日本人客が眉をひそめる行動も目についた。
「桜の花と一緒に写真に写りたいのか、枝を引っ張って顔に近づけて撮影している。いちいち注意はしないけど、枝が折れないか心配で……」(日本人花見客)
実際に公園内を歩いてみると、父親と母親に抱きかかえられた子供が枝を引っ張って顔の横に持っていき、その様子を知人がカメラに収めている場面に出くわした。
話しているのは中国語。記者が「中国から来たんですか?」と英語で話しかけると、スッとその場を立ち去った。ある香港出身の中国人ツアー添乗員がいう。
「団体ツアーで上野公園に30分ほど立ち寄るスケジュールを組んでいるが、日本人花見客とのトラブルはしょっちゅうです。写真を撮るために敷いてあるブルーシートに土足で上がりこみ、ケンカになりそうになったこともある。
私が桜の花の枝を折って持ってきた中年女性客に注意したら、『日本には活け花があるからいいんだ』と逆ギレされた。バスの中でマナーやルールの説明はしているけど、みんなおしゃべりに夢中で聞いている人はほとんどいない」
隅田川沿いに咲く桜並木越しにスカイツリーが撮影できる隅田公園では、花見客を迎え入れた地元ボランティアが頭を抱えていた。
「自撮り棒っていうの? あれを振り回して他人にぶつけたり、枝を強くゆすって花びらを散らして撮影したりするから本当に困る。日本語で注意したら、逆に中国語でまくしたてられた人もいた」
※週刊ポスト2015年4月17日号