国際情報

佐藤優氏「イスラム国は旧ソビエトに非常に似ている」と指摘

 イスラム教とはどんな宗教なのか。宗教を題材として画期的な論考を発表してきた社会学者・橋爪大三郎氏と、イスラエルをはじめ中東事情に精通する元外務省主任分析官・佐藤優氏が、なぜ現代世界に「イスラム国」が生み落とされたのかについて論考する。

佐藤:「イスラム国」は旧ソビエトに非常に似ていると感じています。マルクス主義では、国家廃棄を主張しているのに、なぜソビエトという国家ができたのか。

 後進資本主義国であるロシアで社会主義革命が起きてソビエトは誕生しました。最終的には世界革命を起こして、世界中の国家廃絶を目指した。しかし現実的には周囲に帝国主義国家が存在する。共産主義への過渡期だとはいえ、ソビエトも事実として1つの国家として存在したわけです。やがてソビエトは国家とは別にコミンテルンが世界革命をすると考えるようになった。

「イスラム国」を見た場合、ソビエトにおける「プロレタリア革命」を「イスラム革命」に置き換えると分かりやすい。今後、「イスラム国」が国家になったら、世界中でイスラム革命を輸出しようとする組織が生まれてもおかしくはありません。

橋爪:「イスラム国」には、地上に自分たちが正しいと信じる秩序を作るんだという強い意志があります。そのためには、多くの人が勇敢に戦って、犠牲になる価値があると考えている。オウム真理教のような単なる反動形成の妄想集団であって、展望もないまま突っ走っているだけかも知れないと感じる瞬間もあります。

 ただオウム真理教の行動や考えの根拠となるような仏教のテキストはありませんが、「イスラム国」は正統なイスラムの法学、哲学、神学を踏まえている点を見過ごしてはならない。

※SAPIO2015年5月号

関連キーワード

関連記事

トピックス

紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
大村崑氏
九州場所を連日観戦の93歳・大村崑さん「溜席のSNS注目度」「女性客の多さ」に驚きを告白 盛り上がる館内の“若貴ブーム”の頃との違いを分析
NEWSポストセブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
佐々木朗希のメジャー挑戦を球界OBはどう見るか(時事通信フォト)
《これでいいのか?》佐々木朗希のメジャー挑戦「モヤモヤが残る」「いないほうがチームにプラス」「腰掛けの見本」…球界OBたちの手厳しい本音
週刊ポスト
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン