執筆した『火花』(文藝春秋)が芥川賞有力候補としてささやかれているお笑い芸人ピースの又吉直樹(34才)。その又吉が5年以上通う吉祥寺の『武蔵野珈琲店』は、小説『火花』で先輩芸人が主人公に漫才への想いを語るシーンの舞台にもなった。店での又吉の様子をマスターの上山雅敏さんはこう語る。
「たいてい朝に1人でいらっしゃいます。髪をお団子に結び、古着姿のせいか、他のお客さんに気づかれることもありませんね。窓際の奥の席に座り、1時間ほど本を読んで帰られます。あえて“いらっしゃいませ”“ありがとうございます”以外の会話は交わしていません」
上山さんは純文学が好きで、『火花』はもう3回読んだ。
「お店の描写が細やかでうれしくなりました。コーヒーカップを洗う音は、食洗器を使う今どきのカフェでは聞こえませんし、お店で流すクラシックのBGMも効果的に描かれていました。
一時期、普段より頻繁にいらっしゃる時期があって、おそらくあの時期に『火花』を書いてらしたんですね。注文はカフェ・オ・レ・グラッセと決まっているのに、1度だけブルーマウンテンを頼まれました。小説の中で先輩が飲むシーンがあり、あれは小説執筆のためだったのか…、と納得しました」
※女性セブン2015年4月23日号