2014年12月の「ゴキブリ混入事件」から約5か月。まるか食品(群馬県伊勢崎市)が製造する即席麺「ペヤングソースやきそば」が6月上旬に販売再開される。
1975年に販売が開始された「ペヤングソースやきそば」は、当時丸い容器が定番だった市場で、四角い容器を採用して大ヒット。以降、40年にわたり首都圏を中心に東日本のカップやきそば市場を牽引し、東の「ぺヤング」、西の「(日清焼そば)U.F.O.」といわれていた。
ペヤングという商品名は「ペア」と「ヤング」を組み合わせたもので、「若いカップルが一緒に食べられる気軽な食品」を目指して命名された。1975年から17年間にわたり、初代CMキャラクターを務めた落語家の桂文楽師匠が明かす。
「ペヤング発売前から、私は寄席で『顔が四角い』ことをネタにしていました。ある日突然、まるか食品の先代社長が1人で訪ねてきて、『今度、四角いパッケージのカップやきそばを発売するからCMに出てほしい』と依頼してきた。
最初のCMフレーズ案は『ペアでヤングなソースやきそば』だったんです。でも長いし語呂もよくなかったから、何度目かのテイクの時に『ペヤングソースやきそば』とやったら、『それいいね』となって商品名にも採用された。私が名付け親みたいなもんかな」
ラジオ全盛の当時は「桂小益」として名前と声は世に知られていたが、顔はそうではなかった。ところがCM放映開始の翌日には、子供たちから「あっ、やきそばの人だ」と声がかかるようになったという。
文楽師匠が語る「顔は四角でも味はまろやか」というキャッチフレーズを覚えている人も多いだろう。そのフレーズとともにペヤングは爆発的にヒットした。
「縁が深い商品なので、販売再開はうれしい。今も私がCMキャラクターなら、『また販売できるようになった』と寄席の楽屋でみんなに配るんだけどね。ここは『初心に返る』ということで、CMも初代に戻す手はどうですかね(笑い)」
※週刊ポスト2015年4月24日号