3月15日に初めて開催された横浜マラソンの組織委員会は、コース距離がフルマラソンの規定より186.2メートル短かったと発表した。1キロ5分(フルマラソンで約3時間半)ペースで走る人でも1分近くかかる距離であり、「自己ベストが〇秒縮まった」と喜んでいたランナーを大いに落胆させた。
計測ミスの原因の一つは、コースの一部(約11キロ)に組み込まれた首都高湾岸線だった。組織委の担当者がいう。
「計測は事前に3回行ないました。3回ともメーター付き自転車2台での計測です。しかし、計測のためだけに首都高を通行止めするわけにもいきませんので、首都高部分は地図上での計測でした。当日の朝、実際に全コースを自転車で計測し、競技終了の午後3時頃に計測ミスが判明したのです」
横浜マラソンは事前の計測ができなかったために、大会後に日本陸連の公認コースに申請予定と参加者に伝えていた(公認コースで出した記録は他の大会の参加条件を満たす場合がある)。組織委が大会HPで「検定の結果、日本陸連公認コースとはなりませんでした」と発表したのは大会4日後。組織委は「具体的な原因の検証を重ねていた」とするが、4月7日まで計測ミスを明らかにしなかったことに対して「失態隠しではないか」と批判の声もあがった。
そもそも「首都高コース」は出場ランナーに大不評だった。
「車では気がつかないが、首都高のカーブは路面がかなり傾いている。走るのは体にかなりのダメージだった」(39歳女性)
「高所で景色がよさそうに思われるけど、壁が高くて景色はほとんど楽しめず、応援もなく単調でつらかった」(44歳男性)
高速道路使用コースの“先輩”でもある千葉県のちばアクアラインマラソンの準備室担当者に尋ねると、なんと同マラソンの第1回大会(2012年)にも“計測ミス”があったという。
「東京湾アクアラインも事前の通行止めはできませんので、大会前は地図上で距離を測って準備しました。当日の朝、自転車で計測すると、予定していた距離が実際よりも22メートル長かったことが判明したので、その分コースを短くしてから大会を開催しました」
横浜マラソンもミス発覚のタイムがもう少し早ければ、いいスタートが切れたのかもしれない。
※週刊ポスト2015年4月24日号