「糖尿病治療にはカロリー制限」という日本の医療の“常識”のおかしさを指摘した「週刊ポスト」前号(4月17日号)のレポートは大きな反響を呼んだ。日本糖尿病学会では、糖尿病に対する食事療法としてあくまでもカロリー制限を推奨しているのだが、学会側の関係者からも「ポストの記事は正しい」と少なからぬ声が寄せられたのだ。
食事療法のみならず、糖尿病の治療薬にも疑問は及ぶ。日本糖尿病学会編『糖尿病治療ガイド2014-2015』で推奨される薬について、学会に所属するある専門医はこう首を傾げた。
「新しく勧められるようになった薬には、体に本来備わっている『排出前の尿に含まれる糖(グルコース)を身体に戻そうとするはたらき』を阻害する薬があります。いってみれば、無理やり糖を身体の外に出す薬です。食事療法では糖質を摂ったほうがいいとしながら、薬で糖を体外に排出することを推奨している。やっていることに明らかな矛盾がある。
当然のことながらどんな薬にも副作用リスクがあり、この薬の場合、脱水症状や脳梗塞を起こすリスクがあります。患者をわざわざ危険に晒している」
糖尿病治療薬の国内市場規模は2012年時点で約3688億円、21年には5500億円に膨れ上がるとみられている。そうした薬を販売する製薬会社から、ガイドライン作成に携わってきた学会の重鎮に資金提供があることは前号でも触れた。
前出の専門医が続ける。
「学会が出している『糖尿病食事療法のための食品交換表』を見ても、アイスクリームやチョコレートなどの嗜好品、つまり砂糖は極力摂るなとしている。にもかかわらず、同じ糖質である炭水化物は『総カロリーの50%以上摂れ』としているのですから矛盾だらけです。
患者さんたちの中には、自分で情報収集して炭水化物を減らすやり方を試し、糖尿が改善する例がどんどん出てきている。学会が否定しても、この流れは止められないでしょう」
※週刊ポスト2015年4月24日号