ファッション雑誌『VERY』(光文社)が4年前に子育て中の母親が名刺を愛用する動きを取り上げ、販売サイトを立ち上げたことが、近年のブームの一因となっている「ママ名刺」。自分の名前と子供の名前、電話番号やメールアドレスなどの連絡先、ちょっとした趣味などを入れるのが一般的だったが、最近ではSNSの連絡先を載せる人も増加しているという。
そうした話を聞くと非常に便利なツールに思えるが、そこには思いがけないトラブルも潜んでいる。愛知県に住む主婦のAさん(42才)は名刺交換を巡って、子供の習い事先から注意を受けた。
「小学生の娘がバレエを習い始めたので、教室のママたちに名刺を配ったんです。そのなかにお迎えのタイミングが合わなくて渡せないママがいました。なかなか私たちともおしゃべりする機会もなかったので仲よくならなかったし、そのまま渡していなかったんです。そしたら誰かがその家のお嬢さんに名刺を見せたらしく『うちのお母さんはもらってない。○○ちゃんちから仲間はずれにされてる』と落ち込んで教室に来なくなってしまったよう。バレエ教室の先生から『名刺はやめてください』と注意されました」
自宅で名刺を作る人もいれば業者に頼む人もいる。デザインや載せる情報も人によってさまざまだ。業者に依頼すれば50枚2000円程度から作ることができる。自由自在に作れるからこそ、そこには“格差”も生まれる。
「他のママが作った名刺に比べて私の名刺なんかとても恥ずかしくて…」と落ち込んで話すのは東京都に住む主婦のBさん(38才)だ。
「この4月に小学校3年になった娘はクラス替えがありました。新しくママ友ができたので名刺を配ろうとしたら、あるママ友の名刺が高級な和紙を素材の一部に使っていて、そこには旦那さんの名前と勤め先まで書いてあったんです。そこは誰でも知っているような一流企業。私は自分の家のプリンターで作ったぺらぺらの安い名刺で、旦那はしがない三流企業勤めで書くことがない。恥ずかしくて配れなくなってしまって…。なんとなくママ友作りのスタートラインから出遅れてしまいました」
※女性セブン2015年4月30日号