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没後50年の江戸川乱歩 恐怖は快楽であることを知る傑作選3冊

 今年は江戸川乱歩没後50年の都市。数々の名作を生み出した乱歩は、お笑いコンビ・ピースの又吉直樹なども含め、著名人にも多くのファンを持つ。乱歩ワールドをいまだ体験していない人も、そしてマニアも納得の作品をミステリ評論家の千街晶之宇氏が厳選する。

* * *
『鏡地獄』(創元推理文庫、光文社文庫『江戸川乱歩全集二巻』収録ほか)
 
 鏡やレンズに病的な執着を持つ青年。彼は自宅の庭に実験室を造り、鏡像がもたらす視覚の快楽に耽溺する。内部が鏡張りの球体に入ったらどのような光景が見えるのかという異様な発想をもとにした、乱歩ならではの艶麗な幻想と恐怖の世界。

『芋虫』(角川ホラー文庫、光文社文庫『江戸川乱歩全集三巻』収録ほか)
 
 戦場で四肢も聴覚も言語も失い、視覚と触覚のみの存在となって生きる須永中尉と妻の時子が送るおぞましい官能の日々と、その凄惨な破局。地獄と悦楽が隣り合わせに共存する人間心理の異様さを描ききった、乱歩の怪奇文学の到達点。

『黒蜥蜴』(角川ホラー文庫、光文社文庫『江戸川乱歩全集九巻』収録ほか)
 
 宝石から美男美女まで、美しいものに執着してやまない女賊・黒蜥蜴と明智小五郎の対決の結末は? 三島由紀夫が舞台劇化し美輪明宏が演じているほか、二度も映画化されるなど、乱歩作品の中で最もメディアミックスと縁のある長篇。

※SAPIO2015年5月号

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