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「江川と西本の人間関係は険悪ではなかった」定岡正二が証言

 江川卓と西本聖。“怪物”と呼ばれ高校時代から注目を浴び続け、ドラフト外でプロ入りし“雑草”と言われた対照的な二人は、1980年代の読売巨人軍を支えエースの座を争った。1981年の開幕投手は前年14勝の西本がつとめ、その年、西本は18勝、江川は20勝をあげている。その年の「沢村賞」は下馬評では江川が有力視されていたが、表彰されたのは西本だった。これを契機に江川は西本をライバルとして意識し始めたという。

 ただ意外にも、「人間関係は険悪ではなかった」と証言するのは、江川、西本とともに、巨人の先発3本柱を形成していた定岡正二だ。

「僕と西本は江川さんのことを“卓ちゃん”と呼んでいました。最初はどう接していいか複雑でしたけどね。僕と西本は高校から入ったからプロでは先輩。でも学年では江川さんが上。おまけに江川さんの入団の経緯があんなでしょう。西本と“何て呼べばいいのかな”なんて話したのを覚えています。最初は“ねえねえ”とか呼びかけて誤魔化していました。

 でもキャンプで接すると、意外といい人じゃないかということになった。すぐに打ち解けていきました。ライバルといっても、成績に関してだけのことですよ」

 西本も認める。

「卓ちゃんと呼んだのは、他に呼び方が思いつかなかったから(笑い)。キャッチボール、ランニング、体操と、いつも江川さんと一緒にやっていました。ただ、不思議と食事には行きませんでしたね。ゴルフはよく一緒にやったけど」

 江川と西本のライバル関係には、まだまだ物語がある。詳細は現在『ビックコミックスペリオール』(小学館)に連載中の漫画『江川と西本』(森高夕次・星野泰視。第1巻発売中)に描かれている。

(文中敬称略)

※週刊ポスト2015年5月8・15日号

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