高野山の麓にある『学文路(かむろ)苅萱堂(かるかやどう)』(和歌山県橋本市)に「人魚のミイラ」とよばれるものが安置されている。
手を挙げたポーズで胸びれやうろこのある魚の姿をした下半身。我々が想像する人魚とは少々異なる姿だが、これは平安末期から伝わる秘宝。1400年以上前に滋賀県蒲生川でとらわれたという説もあり、現在は不老長寿や無病息災を願う人々の信仰の対象となっており、高野山の民俗信仰を伝える資料として現在、県有形民俗文化財になっている。
また、全国各地に伝わる鬼の伝説。宮城県村田町に伝わる「鬼のミイラ」は、ある民家から見つかったもの。
顔と手のミイラは珍しく、鬼の顔といわれる部分は縦40cmほどあり、牙も角もある。記録は見つかっておらず、いつの時代からあるものかは謎に包まれたままだ。
さらに、佐賀県伊万里市で290年前から酒を作り続けている松浦一酒造。その酒蔵の母屋でほこりだらけの箱から見つかったのが不思議な形をしたミイラ。骨が見え、大きな目らしき骨格で、当初は何かわからなかったが、箱に『河伯』という文字が書かれ、カッパではないかといわれている。蔵を守る水神様として、今は神棚に奉られている。
※女性セブン2015年5月14・21日号