2014年3月、サンスター文具から発売された「みんなの部活ノート」は、出荷数はすでに15万冊を突破し評判が広がっている。このユニークな商品はどんな発想から生まれてきたのか。作家の山下柚実氏が、開発担当者を直撃した。
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「日本の部活動向は、世界的にも非常に珍しいんです」とサンスター文具・クリエイティブ本部の長嶺博斗氏(28)は開口一番、そう言った。
「中学1、2年生の約9割、高校1、2年生の約7割以上が学校の部活に入っていて、割合が非常に高いのです」
日本の若者にとって「部活」とは、単なる教科外の活動ではないらしい。多くの時間を費やす場であり、エネルギーを燃焼する場であり、いわば青春の舞台そのもの。メーカーから見れば「ボリュームゾーン」に映る。
「しかし、弊社にこれまで『部活』をコンセプトにした商品はありませんでした。会議でこのテーマが提案されると、いいねと賛同が集まり、東京オリンピック開催決定が追い風となってとんとん拍子で企画が進んでいったのです」
だが、世の中にはすでに人気スポーツのスコアブックや作戦ノートは数多く存在している。そうした商品と「みんなの部活ノート」はどう違うのか。
「まず野球部の高校生の手書きノートを実際に見てみたんです。ぎっしりと文字が書かれていたり写真が貼ってあったり、一人一人書き方が違う。チーム、個人によっても記述方法はいろいろ。そこで、部活の記録や練習日誌に使えて、さらに普段の授業でも記入できる自由度の高さがポイントだと思いました。罫線ノートを基本形にする発想はそこから出てきたのです」
それにしても、35種類も商品化したねらいとは何なのか。バスケやサッカー等の人気スポーツならば競技人口も多く、売れる見込みも立つだろう。しかし、ラクロス、バトントワーリング、カヌー、チアリーディングといった競技人口の少ない競技専用のノートなんて、ビジネス的にはどうなのか。