国内

官邸ドローン犯の漫画 一定の力量あり雑誌掲載できる質の評

 昼下がりの公園。ゲートボールを楽しむ老人たちの集団を若い男が突然襲い始める。その男は犯罪者ではなく、“国の事業”としての職務を遂行中だった──「官邸ドローン事件」で逮捕された山本泰雄・容疑者(40)が自身のブログで「昔書いたマンガ」として紹介した作品の一場面だ。

 漫画を読んだ印象について五野井郁夫・高千穂大学経営学部准教授(国際政治学)が語る。

「画力はやや粗いかもしれないが一定の力量がある。この路線なら青年誌に将来掲載されてもおかしくない質ですし、政府の政策に疑問を呈す社会派的なリアリティを持つ内容です。この漫画には犯人が何を考えていたのかを読み解く鍵があります」

 4月22日午前、首相官邸屋上で小型無人機「ドローン」が発見された。黒く塗られた機体には、放射性セシウムを含む土が入ったプラスチック製の容器や発煙筒が取り付けられていた。

 政府中枢に仕掛けられたテロ攻撃かと官邸、メディアは浮き足立ったが、2日後、「反原発を訴えるために官邸にドローンを飛ばした」「容器には福島の砂を入れた」などとして、福井県の小浜警察署に山本容疑者が出頭、威力業務妨害容疑で逮捕された。小浜市内の実家で暮らしており、市内にある県立高校の電子機械科を卒業後、航空自衛隊に入隊。除隊した後は派遣社員などを経て昨年までメーカーの正社員だった。

「事件発覚直後から、当局は左翼のセクトや反原発を訴えるグループをピックアップして洗っていたが、団体に属していない山本はまったくノーマークだった」(捜査関係者)

 逮捕後に大新聞、テレビは容疑者の人物像を連日報じたが、その多くは「無職」「反原発に固執」と強調するものだった。冒頭で紹介した「漫画」について主要5紙とNHKは全く報じず、「元自衛官」の経歴もほとんど触れられていない。数少ない自衛官の経歴を報じた記事でも、「職を転々としていたうちの一つ」という位置づけにされていた。

関連キーワード

関連記事

トピックス

「動物環境・福祉協会Eva」の代表理事で俳優の杉本彩(HPより)
飼いたい人に知ってほしいペットショップや“愛護団体”の実情 「高額な譲渡費、2度の去勢手術…」「幼齢動物の販売禁止を目指したい」 【杉本彩さんインタビュー後編】
NEWSポストセブン
加賀美セイラ(インスタグラムより)
《ゼクシィ初代CMガール》加賀美セイラ「めちゃくちゃ働いてます」海外挑戦8年の“現在”…奔放な「丸出し」SNSを更新
NEWSポストセブン
年の瀬に向けて多忙な日々を過ごされている雅子さま(2024年11月、大分県。撮影/JMPA)
《来年はもっと海外へ》雅子さま、ご活躍の舞台が急拡大の見通し 来年度の国際親善の経費が大幅に増額、訪問先の有力候補はアメリカとブラジル
女性セブン
日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』(TBS系)主演の神木隆之介
『海に眠るダイヤモンド』制作秘話 神木隆之介はYouTubeでホストを研究、杉咲花は長崎弁に奮闘、ネトフリ配信に間に合わないほど超タイトな撮影スケジュール
女性セブン
カニエ(左)とビアンカ・センソリ(右)(Getty Images)
《過激ファッションで物議》カニエ・ウェストと18歳年下妻、「丸出しで愛を誓う」仰天セレモニーを計画 海外メディアが報道
NEWSポストセブン
怒りの告白をしたJカップグラドルのなな茶
《総フォロワー500万人のインフルエンサー》なな茶がイベント“ファンの大量ドタキャン”に怒りの告白「すべて出禁にさせていただく」「“グラビアなんかしてるから”と心無いコメントも」
NEWSポストセブン
「動物環境・福祉協会Eva」の代表理事で俳優の杉本彩(HPより)
「熱中症で殺したり、溺死させたり…」悪質ブリーダーのヤバすぎる実態「チワプー」などの異種配合は「命への冒涜」【杉本彩さんインタビュー前編】
NEWSポストセブン
三笠宮妃百合子さまの「斂葬の儀」に参列された愛子さま(東京・文京区。撮影/JMPA)
愛子さま、佳子さま、悠仁さま 三笠宮妃百合子さまの「斂葬の儀」で最後のお別れ 悠仁さまは高校を休んで参列
女性セブン
大塚寧々と田辺誠一
《スマホの暗証番号も一緒》大塚寧々と田辺誠一「スピード再婚」から22年「いい夫婦」の愛だけがあふれた日常
NEWSポストセブン
主張が食い違う折田楓社長と斎藤元彦知事(時事通信フォト)
《沈黙続ける折田楓社長》「朝、PR会社の方から直接連絡がありました」兵庫県HPから“同社記事が削除された理由”
NEWSポストセブン
犬猿の仲といわれていた織田裕二と柳葉敏郎
織田裕二『踊る』スピンオフ『室井慎次』にこっそり出演 「柳葉さんがやるなら…」と前向きに検討、確執は昔の話 本編再始動への期待も高まる
女性セブン
谷川俊太郎さん(右)への思いを語った中島みゆき(左)(事務所の公式HPより、右は共同通信社)
中島みゆきが独占告白「本当に星になっちゃった。でも星は消えないですから」言葉の師と尊敬する谷川俊太郎さんとの別れ、多大な影響を受け大学の卒論テーマにも選択
女性セブン