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食物を溶かす臓器「胃」 なぜ胃壁まで溶けることがないのか

 人体には多数の内臓があるが、具体的にどんな形状でどんな機能を果たすのか。ここでは「胃」について紹介しよう。胃は食べたもの、飲んだものが最初に集まるところ。平均的な長さは20cmで、容量は約1リットル。食物が通過するのに2時間ほどかかるが、液体なら10分ほどでOKだ。

 胃は袋の形をしていて、右から左へとカーブし、左側に大きく膨らんでいるのが特徴。他の臓器と違い、人によって形が異なる。

「牛角胃」は牛の角のようにすらりとした形で、食べ物がスムーズに流れて胃もたれが少ない、欧米人や肥満の人に多い。「鉤状胃」は鉤のように曲がった胃で、中央部分が出口より低い位置になるので、食べ物がたまりやすく、「下垂胃」ともいわれ、日本人や痩せ型の人に多い。「瀑状胃」は胃の入口が出口より下にある複雑な形で、食物が流れにくくて数か所に溜まりやすい。日本人の2~3割がこの胃といわれている。

 胃の働きは、何といっても食べ物など胃に入ったものを、胃酸を使って溶かすこと。口腔内で唾液とともに胃に運ばれた食べ物は、胃のぜん動によって上から下(噴門から幽門)へと送られ、その間に胃酸と混ぜ合わさることで消化を促す。ただし、溶かすだけで、栄養の吸収はほとんど行われない。

 胃酸はpH2という強酸性。他の臓器を溶かしてしまうほど強力だが、胃の粘液と粘膜が胃液をしっかりガードするため、食物は溶かしても胃壁まで溶けることはない。

 胃潰瘍や胃がんの原因となるピロリ菌は、アルカリ性の尿素を出して胃酸を中和することで、胃の中でも生存が可能。食べすぎやストレスで胃の中のバランスが崩れると、ピロリ菌が暴れだし、胃炎や胃潰瘍などを発生してしまう。

 胃酸の勢いが強すぎて、胃で消化される途中の食物が食道に逆流すると、逆流性食道炎。もともと日本人には少なかったが、食生活の変化により、増加傾向にある。

※女性セブン2015年5月14・21日号

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