中国人による日本製品の爆買いが注目を集めたが、日本のライフスタイルを愛好する中国人も増えている。上海在住のイラストレーター・林竹さん(女性)は、イラストで日本を紹介する「日本旅絵巻」シリーズを中国で出版している。彼女の仕事部屋の本棚には日本の漫画、小説、写真集がぎっしり詰まっている。
「蔵書の85%は日本の本です。東京学芸大に留学しデザインを専攻していたんですが、帰国時に日本の書籍だけで30箱持って帰りました」
小さい頃から日本のアニメに親しんでいて、日本が憧れの国だったという林さん。中国語に翻訳された作品は受けつけないという徹底ぶりで、日本に留学した印象も「漫画やアニメで描かれる日本の青春はずっと空想の世界だと思っていたけれど、日本の学生は本当にこんな生活を送っているんだと知って衝撃」だったという。
漫画・アニメ好きが高じて、林さんは現在日本ツアーを主催し、年に数回、中国人旅行者を引率している。
「30万~40万円する少し高いツアーですが好評です。日本の美しい景色、おいしい食べ物、もてなし、癒しなど、買い物だけではない日本の文化やライフスタイルの魅力を伝えつつ、マナーのいい中国人観光客を育てていきたい」
欧米のセレブたちのような派手さとは違った、プチブル的な日本のライフスタイルを追求する若者は「小清新(シャオチンシン)」「日本小清新(リーペンシャオチンシン)」と呼ばれ、最近少しずつ増えているという。
■取材/在中国ジャーナリスト西谷格
※SAPIO2015年6月号