0-10の惨敗を喫した5月9日の広島戦、7回裏の攻撃前にウサ晴らしのようにジェット風船を飛ばすと、甲子園の阪神ファンは列をなしてスタンドを後にした。阪神は5月上旬時点で、チーム打率、本塁打、盗塁、失点、防御率の各部門でリーグ最下位。12球団で見てもワーストだ。
阪神ファンの間には絶望感が漂う。大阪生まれの芥川賞作家・高橋三千綱氏は自暴自棄だった。
「あと100試合もあるのに、もうこんな状況。阪神ファンは何を楽しみにプロ野球を見ればいいんでしょうかね。これでもうわかったでしょう。和田(豊)監督は間違いなくクビになる。居直って、やりたい放題やってください。マジメにやっても勝てないんだから」
怒りの矛先は和田監督に集中する。京都出身の経済評論家・江坂彰氏はこう吐き捨てる。
「はっきりいって、和田監督はリーダーとしては二流ですね。今のリーダーはいかにして結果を出すかを考えるが、あの人はやけにサラリーマンっぽいというか、オーナーの顔を立てないといけない、それでいて部下に嫌われたくないと気を遣っている。だから選手の世代交代を進められないし、思い切った起用もできないんじゃないでしょうか」
関西大学大学院教授で、経済効果算出の第一人者・宮本勝浩氏は、
「球団創設80周年のシーズンに最下位……これをマイナス経済効果で試算したら、損失は関西全体でエラい数字になりまっせ」
と真顔で心配しつつ、こう続けた。
「和田監督は勝負師としては人が良すぎるんと違いますか。原(辰徳)監督はソフトなイメージですが、勝つために批判覚悟で阿部(慎之助)のコンバートを撤回したり、ローテーション投手を平気で二軍に落としたりしている。これが普通なんですよ。監督が選手に遠慮していたらチームは強くならない。その点、和田監督は特に外国人選手にナメられていますね」
※週刊ポスト2015年5月29日号