封切り後16日間で観客動員数120万人超の大ヒットとなった映画『ビリギャル』。主演の有村架純の人気をあらためて示した。ところが、絶好調の有村だというのに、所属事務所から「禁止令」が出ていたというから穏やかな話ではない。一体何を禁止されたのか。
「有村は兵庫県伊丹市の出身でもともとは関西弁を話しますが、多くの女優や女性タレントがそうであるように、彼女も公の場では標準語を使っています。上京してすぐに事務所側が注意したそうで、以後、関西弁は禁止、徹底的に矯正させた。彼女自身、当初から女優を目指していたので、カメラが回っていなくても関西弁は使わなかった。違和感なく標準語を話すのは努力の成果です」(テレビ局関係者)
ところが、『ビリギャル』では名古屋在住の女子高生を演じたため、名古屋弁を話さなくてはならなかった。ビリギャルの原作モデルであり、映画撮影では「方言指導」をしていた小林さやかはトークイベントで、「架純ちゃんは演技も素晴らしいし、耳が良いのか方言も一回ですぐにできる」と話していた。
名古屋在住のテレビ局職員は次のように指摘する。
「ちょっと褒めすぎです。東京の人にはわからないかもしれませんが、名古屋の人間が聞くと、あのしゃべり方には違和感があります」
4月6日の完成披露舞台挨拶で有村本人も「関西出身なので、関西弁と名古屋弁が混ざって変なイントネーションになってしまい苦労しました」と認めている。
長年、テレビ制作に携わった関係者は、「女優と方言」をこう語った。
「『あまちゃん』でも東北弁がヘンだという指摘は多かった。女優としてさまざまな役を演じるならば必然的に方言を使う場面が増える。有村さんも関西弁が影響してしまうなら徹底的に矯正したほうがいい。過去にも訛りが抜けずにセリフで苦労した女優は少なくない。大阪出身の沢口靖子はいまでもたまに“おや?”と思うことがあるし、伊丹市出身の南野陽子もなかなか訛りが抜けず、『はいからさんが通る』ではおかしなイントネーションが多かった」
実際には、禁止令といいながら有村は関西弁を封印していない。バラエティ番組ではたびたびお笑い芸人たちが有村に関西弁でツッコミをいれさせたり、「好きやで」などといわせたりしている。それがなかなか可愛いと評判だ。
芝居のクオリティは大事だが、普段は“素”のままでもいいんじゃないか。
※週刊ポスト2015年6月5日号