都道府県によってがんや糖尿病などの死亡率に差が出るのはどうしてか。厚労省の統計データなどをもとに、「健康格差」を徹底調査した。
糖尿病死亡率が最も高い徳島県は1993年から2013年まで、2007年を除いてワースト1位を記録し続けている。その要因として、徳島大学大学院心臓血管病態医学分野の島袋充生特任教授は「肥満」と「糖質摂取」を指摘する。
【糖尿病死亡率】
1位 徳島 17.6
2位 香川 17.4
3位 福島 16.2
↓
↓
↓
45位 愛知 8.3
46位 滋賀 7.3
47位 神奈川 7.1
※人口10万対、厚労省「2013年人口動態統計」より
「BMI25以上の肥満者の割合で比べると、徳島は沖縄、北海道に次いで全国で3番目に多い。しかし、沖縄の糖尿病発症率は低い。両者の違いは食事の仕方です。沖縄は総摂取カロリーに占める脂質の割合が高いが、お米をあまり食べないので総カロリーは増えない。
一方、徳島の人はお米をよく食べる上に砂糖の摂取が全国でトップクラス。ご飯に砂糖をかけて食べている地域があるほどです。全国で饅頭のあんこの量を比較すると、徳島が断トツに多いという調査もある。甘党の県民性があるようです」(島袋氏)
そうした現状を受け、徳島県は05年に「糖尿病緊急事態宣言」を発令。県民に運動や野菜摂取を勧めてきた。
「運動習慣がない人に向けて、阿波踊り体操を普及・啓発しています。座ったままできるものなど8バージョンあり、徳島県民にはなじみのあるリズムなので、生活の中に取り入れやすい面があると思います」(徳島県健康増進課)
そうした取り組みの成果が出るにはまだ時間がかかると前出・島袋氏はいう。
「運動が増えている傾向はあるが、20~30年の生活習慣の結果である糖尿病が減るには、10年程度で明らかな改善は出ません。気長に、地道に取り組んでいくしかないでしょう」
※SAPIO2015年6月号