専任のオリンピック担当大臣が新設される。5月27日、国会で五輪・パラリンピック特別措置法が可決され、2020年の東京五輪に向けて閣僚の定員が1人増えることになる。
6月中に任命される見込みの新大臣の最有力候補は遠藤利明・元文部科学副大臣だ。超党派のスポーツ議連(会長は麻生太郎・副総理)に所属する遠藤氏について、自民党文教族議員が語る。
「彼に課された最初の仕事は、『プロ野球toto』の創設だ。サッカーだけが対象だったスポーツくじにプロ野球を加え、売り上げを伸ばす。それが東京五輪予算の拡充につながる」
Jリーグの試合などを対象としたサッカーくじは2001年にスタートし、独立行政法人・日本スポーツ振興センターが運営する。13試合の結果を予測する「toto」や3試合の得点を予測する「toto GOAL3」など7種類のくじが販売され、年間1000億円を超える売り上げがある。売り上げのうち、当せん金に充てられるのは半分で、残りが施設整備費、地方自治体や各種競技団体への助成金などに分配される。
今年4月、スポーツ議連内で、スポーツくじの制度改革を検討するプロジェクトチーム(PT)が立ち上げられた。その座長が五輪担当大臣最有力の遠藤氏だ。議連メンバーはこういう。
「PTの目標は対象をサッカー以外に拡大することにある。4月14日の会合では拡大対象は『プロ野球』を軸に検討することが決まった。遠藤座長は会合の後、『日本野球機構(NPB)や日本プロ野球選手会などとも連絡を取っていきたい』と話していた」
対象にプロ野球を含めるには法律(スポーツ振興投票の実施等に関する法律)の改正が必要となる。同議連は議員立法で改正案を提出する構えだ。
「与野党対決の構図にして長引かせないために、超党派の議連がイニシアチブを取る。今国会で成立させれば、来年4月の開幕と同時に導入できる。国民的人気でサッカーを大きく上回るプロ野球が対象になれば、市場は大きく広がる」(同前)
PT座長である遠藤氏の大臣就任が追い風になると盛り上がっている。
※週刊ポスト2015年6月12日号