中国の代表的な観光スポットで世界中から観光客が訪れる北京・紫禁城で、5月中旬、女性モデルのヌード撮影が行なわれ、中国版ツィッター「微博(ウェィボ)」に女性の全裸写真4枚が掲載され物議を醸している。カメラマンは「だれにも迷惑をかけていない」と開き直った。
これに対して、紫禁城を管理する故宮博物院側は6月初旬、2週間の沈黙を破り、「文化の尊厳を傷つけた。全社会から責められるべき行為」との怒りのコメントを発表しており、法的手段に訴える構えを見せている。
このカメラマンと女性モデルらのグループは撮影助手も含めて全部で4人。5月17日午前8時半ごろ、紫禁城内に入り、故宮中心部にあり、かつては皇帝の即位などの重要な儀式を行なっていた太和殿で撮影を開始。
これを監視カメラで見ていた故宮の職員が撮影を止めさせようと現場に向かったが、撮影は終わったあとだった。
職員数人がカメラマン一行に故宮の外に出るよう求めたが、その後も撮影を続けようとしたため、激しい言い合いになり、結果的にカメラマンらは追い出された。
しかし、その後、カメラマンは女性モデルの全裸写真を微博に掲載、その直後から、「違法だ。警察に通報しろ」などとカメラマンらを批判する声が多数寄せられ、収拾が付かない状態に陥った。
このため、故宮博物院側は事態が落ち着くまで静観する方針を決めたものの、ネットユーザーから「故宮側は何をしていたのか。なぜ、このような無法な行動を取り締まらなかったのか」などと故宮側を批判する声が出てきたため、次のような声明を発表した。
「故宮博物院の文化的価値はきわめて特殊で、すでに世界文化遺産として登録された著名な博物館である。毎年世界中から1000万にも上る観光客が訪れている。このような世界文化遺産のなかで、このような(ヌード)撮影を行ない、とくに重要な文物にまたがるなどの行為を撮影するというのは、公共の秩序や公共心に反することであり、故宮博物院のもと特殊な文化を汚すことになり、貴重な歴史的文物や文化遺産の尊厳を破壊することに通じ、全社会から責められるべきである」
故宮側は法的措置に訴えることも検討しているといわれるが、米国を中心に活動しているカメラマンは現在、すでに中国から離れているという。