競輪・深谷和広選手が愛用する「エボルバー」
その道の達人たちはプライベートでどんなツールを選んでいるのだろうか──自転車ブームが盛り上がっているが、どうせお金をかけるなら「本当にいいもの」を手に入れたい。ならば、仕事で常に自転車にまたがるトッププロに教えを請うのが一番だ。競輪選手の深谷知広が、愛用している『エボルバー』の魅力を語る。
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このロードバイクは、先輩レーサーの幼馴染みが剛性(曲げやねじりの力に対する変形しにくさの度合い)の強いフレームを作っていると聞いて4年前に注文し、それからずっと乗っているものです。
この自転車に出会うまでに20台くらい乗り換えてきました。どのフレームもしっくりこなくて、中には100m走っただけで気に入らなくて売ってしまったものもありました。選手の間でも「深谷はすぐ乗り換える」ってからかわれていたくらいです(笑い)。
普段使うロードバイクは練習用も兼ねているのですが、フレームが弱いとダッシュの練習で思い切り踏み込んだ時にたわんでしまうんです。そうすると脚力がダイレクトに路面に伝わらないし、ひどい時はチェーンラインがずれて外れてしまうこともあります。
その点、「エボルバー」はダイヤモンド形状の堅いフレームに特殊なカーボンを巻いているので、プロの選手が思いっきり踏み込んでもたわまない。軽量のロードバイクは壊れやすくて、何かにぶつけたり転んだりするとフレームが曲がってしまったり、折れたりすることもあるのですが、そんな心配もありません。
フレームだけではなく、ステム(ハンドルとフレームをつなぐ部品)なども剛性が高く、安心して全力で踏み込めます。タイヤもレースで使うカンパニョーロというブランドの剛性が高いホイールを入れていて、そうした部品も合わせるとこのロードバイクには約120万円かかっています。
塗装は耐久性の高い塗料を使い、エボルバーのショップが持っている特別なルートを通じてBMWがペイントしています。フラットブラックとフェラーリの赤を使用したオリジナルペイントの仕上がりには非常に満足しています。
【プロフィール】深谷知広(ふかや・ともひろ):1990年愛知県生まれ。2008年日本競輪学校入学。デビューから56日で史上最速のS級昇格を果たし、平成生まれ初のS級選手となる。2011年の高松宮記念杯競輪でG1レース初優勝。優勝26回、通算獲得賞金は4億5000万円。
撮影■小笠原亜人矛
※週刊ポスト2015年6月26日号