サムスンを象徴とする韓国経済の好調も今は昔。内需が乏しい韓国は過度に輸出に依存した国で、GDPに占める輸出額の割合を示す輸出依存度は43%(2013年。日本は15%)に達している。
とにかく輸出を増やすため、国策によりウォン安誘導が行なわれ、1997年のアジア通貨危機を契機に国際競争力を高めるため業界を再編し、財閥企業への一極集中が進められてきた。
製品の開発・製造については、徹底して日本企業にキャッチアップしてきた。産経新聞ソウル駐在客員論説委員の黒田勝弘氏はいう。
「日本や米国の製品のコピー品を大量生産して安価に売るのが韓国経済のスタイルで、サムスンなどはこのやり方で急成長を遂げた。しかし、その手法も含めて中国に根こそぎ持っていかれたわけです。独自のものがない韓国経済は、逆に中国に飲み込まれそうになっている」
これまで韓国にとって中国は、輸出額の4分の1を占める「お客さん」だった。ところが中国は、韓国が日本を追い詰めた手法をさらにマネして、韓国企業の行く手に立ちはだかったのである。
これを因果応報というのは感情論だが、日本をマネている間に独自の経済モデルを作れなかった失敗は取り返しがつかない。経済評論家の上念司氏が指摘する。
「現代自動車のマークがホンダにそっくりだったり、サムスンがアメリカで流す携帯電話のCMに忍者が登場したり、『日本製品だと勘違いさせる』ようなイメージ戦略が象徴するように、独自の技術、現場の技術力向上を怠ってきた。
その結果、韓国は『サンドイッチ現象』に襲われています。日本の高品質な製品と中国の低価格な商品に挟まれて、何の売りもなくなってしまった状況です」
朴槿恵大統領の前任者である李明博・大統領の時代から、モノマネ商法ばかり続けていけばいずれは日本と中国の挟み撃ちに遭うという「サンドイッチ論」は指摘されていたが、それが予測よりずっと早く現実のものになろうとしている。
※週刊ポスト2015年6月26日号