ファッションプロデューサーの植松晃士さんが、世のオバさんに美しく生きるためにアドバイス。今回は、オンナとしての人生を楽しみ続けるには、声を意識することが大切だと教えてくれた。
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老化の波にさらされた女性が”“オンナとしての人生”を捨ててたら、オジさんとして生きる以外、道は残されていません。“オジさん化したオバさん”の特徴は、ダボッとしたズボンに、ショートカットとはとても呼べない短髪とノーメイク。
ゴルフ帰りのオジさんのようなこのファッションをして、耳に赤鉛筆を差したら“場外馬券売り場にたむろするオジさんのコスプレ”完了です。さらに、低~い声で話しだしたら、もう完璧ですね。
実は私、オフィスのスタッフにはいつも、「電話の声は高いトーンで明るさを意識して話してね」とお願いしています。電話は表情が見えないだけに声がすべて。低い声だと、相手には不機嫌そうに、あるいは慇懃無礼な印象になります。
たとえ電話でなくとも、低い声は威圧的な感じがしませんか? たとえば、「~していただけますか」というお願いも、ドスのきいた声だと命令形に聞こえてしまって、いいことは何ひとつありません。
声についてとても印象に残っているのは、フランス人のマダム。そうとうなお年のご婦人でも、電話に出るときは「ぼんじゅ~」と、かなり高めの明るい声で対応していて、それがとても感じがいいんです。
確かに低いトーンで話すと知的な印象は高まる代わりに、女性的な魅力は半減します。20代のお若いお嬢さんが、自分を知的に見せたい、あるいは信頼感を高めるために落ち着いた低い声で話すというのは理にかなっていますよ。
だけど、“すでに落ち着いちゃっている”年齢の女性が、あえて低い声で話すメリットはありません。
それなら低下しつつある“オンナ度”をアップさせるべく、元気な高い声を意識して発したほうが、得策です。つまり、“声も女性を飾る、重要なパッケージのひとつ”なんです。
「ありがとうございます」というひと言だって、ドスのきいた低い声で言うよりも、ちょっと高めの耳に聞こえのいいトーンで言ったほうが、相手に気持ちが伝わります。
こうして口角と声のトーンを上げることが日常化できたら、“電話美人”の称号だって手にすることができるかもしれませんよ。
オバさん、万歳!
※女性セブン2015年7月2日号