プロ野球セ・パ交流戦でパ・リーグに惨敗を喫したセ・リーグの中で唯一勝ち越しを決め、気を吐いたにもかかわらず、阪神はファンから厳しい“ヤジ”を浴び続けている。
6月16日に行なわれた阪急阪神ホールディングスの株主総会では、ハッキリと「和田豊監督はいらん」という株主の声が飛び出した。
「阪神は80周年ですけど、ハッキリいうてダメ。岡田(彰布)さんを監督にしたらどうか」
これに対しては、田中計久常務が「和田監督は昨年もクライマックスシリーズを制覇した実績がある。現時点で監督云々は考えていません」と回答したが、株主たちの怒りは収まらなかった。ファンの1人はこう語る。
「若虎を育てようという気がまったくないのに腹が立つ。若手を冷遇して、外国人を甘やかしたツケが今年の体たらくや。順位が上なのは他がコケてくれているだけのこと。いつ“定位置”に落ちてもおかしくない。和田はさっさと辞めてくれ。それだけが阪神ファンの願いや」
阪神の監督経験者でOBの後藤次男氏はこう語る。
「監督采配に不満があるのでしょうね。競った試合に弱いのは、継投策に問題があるから。打線が外国人の好不調次第というのも怒りの種になっているんだと思う。
ただ正直な話、監督采配で勝てる試合というのは年に数試合なんです。あとはなんといっても選手の力。でもその力を引き出してやれるよう、選手をやる気にさせるのも監督の役目ですからね……ファンは和田がそういった面に欠けるということに対して憤っているのでしょう」
関西球界では、きな臭い動きが広がってきた。株主総会があった16日、日刊スポーツ(関西版)が一面で「掛布雅之GM付育成&打撃コーディネーター(DC)の一軍コーチ昇格説」を報じた。
在阪スポーツ紙で記者を務めていた人物は、「これはもう、阪神がストーブリーグに突入した証だ」と分析する。
「和田監督の後は岡田監督の再登板というのが既定路線のようですが、これに掛布DCが名乗りを上げたとみて間違いないでしょう。
面白いのは日刊が掛布氏の名前を書いたこと。関西では自社の専属評論家を監督・コーチ候補として報じ、球団に送り込もうとするのが常ですが、掛布氏はスポーツ報知の評論家。日刊は大御所の吉田義男氏と、若手の今岡誠氏ですからね。何か意味があるはず」
水面下では「ポスト和田」に向けた動きが始まったと考えて間違いなさそうだ。
※週刊ポスト2015年7月3日号