ビジネス

海外投資家 銀座や3A(麻布、赤坂、青山)などの不動産物色

 中国人の「爆買い」が話題になったが彼らはすでに日本の不動産にも積極的に出し始めている。外国人による日本国内の不動産投資状況を、不動産の市況調査を手がける東京カンテイ市場調査部の井出武・上席主任研究員が解説する。

 * * *
 不動産市場では、昨年からの円安も追い風に、外国人による旺盛な買いの動きが続いている。海外の投資家や富裕層にとって、日本の不動産はまだ割安で、投資先として魅力があるという。特にシンガポール、台湾、中国などアジアの投資家による購入が目立つ。

 旧正月にあたる2月の「春節」の際、中国人の富裕層による「爆買い」が話題になったが、この時期に彼らは日本で不動産も積極的に買い求めていたと聞く。

 しかし、海外の投資家が闇雲に不動産を買いあさっているかというと、そうではない。外国人投資家は、賃料を高く設定でき、空室リスクが低い物件を狙っている。となると、都心の一等地、大都市の中心部、人が集まる住環境がよい地域に絞られる。

 海外勢は、商業地では銀座、住宅地では麻布、赤坂、青山の「3A(スリーエー)」地区など、誰もが知っている都心のブランド地区を中心に物色しており、これらの地区では物件の価格も上昇している。このようなインバウンド(訪日外国人)の不動産投資は今後も続くだろう。

 都心では物件が高価格帯で推移しているため、一般的なサラリーマンには手が出しにくい状況になっている。人気の高い東京の湾岸エリアで今最も熱いのは中央区勝どき地区だが、少し前まで250万円~280万円程度だった坪単価が上昇し、300万円を超える物件も一部で出てきている。同地区では3000戸規模のマンション開発計画も進められており、中央区では今後も供給増と価格の上昇が見込まれる。

 首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)全体でみると、2014年の新築マンション分譲戸数は、前年比24.7%減の5万2455戸だった。同年の首都圏の一戸平均価格は4653万円(前年比1.6%増)に上昇し、2008年のミニバブル期の水準に接近している。これは都心部で高額物件が供給された影響が大きいと考えられる。

※マネーポスト2015年夏号

関連キーワード

関連記事

トピックス

二所ノ関部屋の処遇はどうなるのか(時事通信フォト)
元・稀勢の里の二所ノ関部屋、未成年飲酒・乱痴気騒ぎ不祥事発覚で“部屋存続の危機”関係者から「閉鎖でなければ白鵬の処分と釣り合いが取れない」の指摘、協会は「お答えすることはありません」
週刊ポスト
選手やファンから愛されたつば九郎
急逝したつば九郎の“中の人”の素顔「もともとはバイト警備員」「ふくよかなフォルム」「豪快にビールを飲みながら、選手の悩みを聞く」…愛され続けた理由
女性セブン
93年にデビューしたシンガーソングライターの東野純直さん
《音楽界から消えてラーメン店主に》93年鮮烈デビューの美声イケメン歌手、年商1800万円だった人気店を閉めた意外な理由「大声で叫び、わけもなく涙が出て…」の修行時代
NEWSポストセブン
殺人などの罪に問われた内田梨瑚被告、小西優花被告(TikTok/Instagramより)
《旭川女子高生殺害・初公判》「お前黙って乗っていろよ。バッタバタにしてやるから」法廷で明かされた内田梨瑚被告(22) らの“残忍な言動”と“恐怖の7時間”の詳細
NEWSポストセブン
カニエ(左)とビアンカ・センソリ(右)(Getty Images)
カニエ・ウェスト(47)と「不安定な関係」でも“丸出しファッション”17歳年下妻が手放さない「セレブの座」 《繰り返される破局説》
NEWSポストセブン
中山美穂さんと妹・中山忍
《中山美穂さんの55回目の誕生日》妹・中山忍(52)がいま守っている「姉が遺した命」と、七七日法要に送った「100字のお礼状」
NEWSポストセブン
3つの出版社から計4冊の書籍が発売された佳子さま(時事通信フォト)
【異例!4社から発売】佳子さま本がフリマアプリで「高額転売」 版元は「ちゃんと本屋さんで正規の価格で買ってほしい」「誠に遺憾に思う」
週刊ポスト
開幕戦に向けた調整を行っている大谷翔平(時事通信フォト)
「ポルシェいたずら」「縦列駐車がニュースに」…キャンプ中も話題沸騰な大谷翔平 同僚・佐々木朗希は「結婚相手は一般人」を巡って“論争”を呼ぶ
女性セブン
石破政権で政務官となった岸信千世氏(写真/AFLO)
【スクープ】安倍晋三元首相の政治資金3700万円を甥・岸信千世議員が“実質的な無税相続”していた 「血縁を理由にした寄附は政治資金の私物化」との指摘
週刊ポスト
ハワイにある豪華別荘の着工式に参加した際の大谷夫妻(不動産開発会社のHPより)
大谷翔平、ハワイ豪華別荘で一悶着 着工式の写真が不動産開発会社公式サイトから削除 工期は遅れ、今年のオフシーズンを過ごせない可能性も
女性セブン
渡辺氏がかつて運営していた喫茶店跡地(常陸大宮市のXより)
《金スマが終わって農業も終了へ》『ひとり農業』ロケ地でビニールハウス、小屋が解体…名物ディレクターの母親が明かした「片付け」
NEWSポストセブン
昨年末に妊娠を公表して以来、初めての公の場に現れた真美子夫人
大谷翔平の妻・真美子さん、注目を集める“ファストファッション中心のスタイリング”の金銭感覚 ハイブランドで着飾る「奥さま会」に流されない“自分らしさ”
女性セブン