事件から1年半の月日が流れた。2013年12月19日、「餃子の王将」を全国展開する王将フードサービス(京都市山科区)の本社前で大東隆行・社長(当時72歳)が何者かに至近距離から撃たれて死亡した。大胆な犯行ながら決定的な目撃情報はなく、捜査の進展がないまま「迷宮入り」も噂された事件が、ここに来て急展開を見せている。ついに京都府警が実行犯を特定したというのである。6月29日発売の週刊ポスト(7月10日号)誌上で、ジャーナリストの時任兼作氏がレポートしている。
同誌によれば、捜査が大きく動いたのは昨年末のことだったという。捜査本部は現場付近に放置されていたバイクを複数台押収し、発砲時のものと見られる硝煙反応を確認、ナンバーを付け替えた別の盗難バイクも見つかったようだ。
防犯カメラの映像と照合すると、容疑者は硝煙反応が出たバイクで逃走し、途中でナンバーを付け替えたバイクに乗り換えたと見られ、その盗難バイクが九州ナンバーの不審な乗用車と一時併走していたことも判明している。同誌で捜査幹部は次のように証言している。
「実行犯と、それをサポートする“運び屋”の2人の“面”が割れた。さらにこの車の所有者やその周辺の人間関係を洗ったところ、2人を九州を拠点とする有力暴力団の構成員だと特定するに至った」
事件を巡っては様々な憶測が乱れ飛んできた。チャイニーズマフィア犯行説、会社関係者説、女性ヒットマン説もあった。
容疑者逮捕の日は近いのか。同誌は京都府警の得田史朗・捜査一課長を直撃した。得田氏は多くを語らなかったものの、こう明言している。
「すでに400回以上の出張捜査に800名以上の捜査員を派遣している。着々と進んでいる」