警視庁で薬物犯罪を担当する捜査員らは6月23日、愛知県豊田市にあるトヨタ自動車本社や東京本社(東京・文京区)など、関係先数か所に一斉に踏み込んだ。
トヨタ初の女性役員で米国籍のジュリー・ハンプ容疑者(55)が6月18日に麻薬輸入事件で逮捕されてから5日後のことだった。捜査関係者がいう。
「日本のリーディングカンパニーの重役の逮捕だから、社会への影響の大きさを考慮し、最大級の極秘事案として捜査を進めてきた。逮捕時もマスコミに広報しなかったし、送検時の写真も撮らせなかった。
豊田章男社長は会見で、“ハンプ氏に法を犯す意図はなかったことが明らかになると信じている”と繰り返したが、彼女は違法だとわかっていたはずだ。
捜査は慎重に進め、最終的な逮捕のゴーサインは警視総監の判断まで仰いだ。今後、押収品やハンプ容疑者のメールの解析などから、悪質性をさらに追及するつもりだ」
6月11日、六本木の高級ホテル「グランドハイアット東京」に滞在していたハンプ容疑者宛ての小包から、麻薬成分オキシコドンを含む錠剤57錠が発見された。
輸入申告書には「ネックレス」と書かれ、玩具のペンダントやネックレスなどが入った箱に錠剤が隠されていたという。
「ハンプ容疑者は取り寄せた目的を“膝の痛みを和らげるため”と供述しているようだ。そうであれば、きちんと認可手続きをした上で『薬品』と申告すべきだった。隠蔽工作がなされたのは、“法を犯す意図があったから”に他ならない」(同前)
※週刊ポスト2015年7月10日号