中国では、国内政治の停滞は、しばしば対外強硬策を引き起こす。では、その矛先となるのは? そう、日本である。 戦後70年の今年、歴史問題を対日戦略のカードとしてきた中国にとっては、格好の一年だ。
●7月7日「七七事変」(盧溝橋事件)
●7月25日「甲午中日戦争記念日」(日清戦争開戦の日)
●8月15日「日本無条件投降日」(中国では「8年に及ぶ抗日戦争の勝利日」と認識)
昨年は、これらの記念日に際して、習近平国家主席が「戦後70年近い今なお、侵略の歴史を美化する者がいる」と演説をぶったり、中国人民解放軍の反日イベントが催されたりしてきた。今年も、ここぞとばかりに日本を槍玉にあげるだろう。反日式典のハイライトは9月3日になる。
「抗日戦争勝利記念日」──
中国は、日本が降伏文書に調印した日の翌日を戦勝記念日に定めている。6月23日、中国共産党は、北京の天安門広場で「中国人民抗日戦争・世界反ファシズム戦争勝利70周年」の軍事パレードを開くと正式に発表した。
戦勝国側の「連合国」を構成した米露英の首脳を招く調整も進めている。さらに、共産党と長く対立してきた国民党の元兵士らも招待しているという。「全中国の勝利」という歴史認識を人民の間で共有するためだ。
日本にとって悪夢の日々が続く。ただし習近平国家主席の猛々しい演説は、逆にいえばその権力地盤の危うさを示すことも知っておきたい。
※SAPIO2015年8月号