最近、「ジェンダーレス男子」という言葉が一部で知られるようになっている。派手なヘアスタイルに、レディースもののファッション、カラーコンタクトをつけてメイクにもこだわるような男性のことを指す。彼らは他にも、アクセサリーを身につけ、厚底靴を履くこともある。しかし、それは「女装」というわけではなく、あくまで男女の境界を踏み越えた「ジェンダーレス」なファッションである点がポイントだ。
そんな「ジェンダーレス男子」が増えている背景に何があるのか。ファッション業界に詳しい服飾専門学校講師の女性・Aさん(28歳)はこう話す。
「特に2015年に入ってから、『ジェンダーレス男子』という言葉が流行りはじめたように思います。人気読者モデルの『とまん』君や、彼が活躍する男性グループ『XOX(キスハグキス)』のメンバー、読モをしている『こんどうようぢ』君、インスタグラムから火がついた『GENKING(ゲンキング)』などがブームを牽引しています。
このブームの背景には、とまん君も意識しているというK-POPのアイドルや歌手のヘアメイク、ファッションの影響もあると思います。韓国の男性アーティストは男性らしいファッションなのに、そこにアイメイクを合わせる人も多い。
とはいえ、ファッション業界ではもっと前から男性らしさ、女性らしさの境界を超えたファッション『アンドロジナス(両性具有)ルック』が流行っていました。これは単なる『ユニセックス』とは異なり、『女性らしさ/男性らしさ』といった固定観念を超えた美意識という内面性に特化したファッションです」
実際にジェンダーレス男子のファンだという女性に話を聞いた。「こんどうようぢ君ととまん君のファン」だという大学生のBさん(21歳)は、こう語る。
「女の子と同じで、自分のコンプレックスをメイクやファッションで克服するという姿に共感しています。美意識が高いのは男女の性差を超えて憧れますね」(Bさん)
また、同じく「とまん君のファン」だという高校生のCさんはこう語る。
「ジェンダーレス男子にハマったきっかけはとまん君のブログです。魅力はアイドルや芸能人よりも身近で、チェキ会などで会いにいけること。私自身、もともとユニセックスなファッションが好きなので、ジェンダーレス男子のファッションを真似しています」(Cさん)
男性らしさや女性らしさといった価値観を超越し、独自の美意識を追求するジェンダーレス男子。そんな彼らが同僚になる日も近いかも。