ある日、中村アン(27才)が洋服店を訪れた時のこと。入店した時にちょうど店を出ようとしていたのが天海祐希(47才)だった。初対面だったふたりは、互いに挨拶して一度はすれ違った。しかし天海は、踵を返すと中村のもとに駆け寄った。突然のことで驚いた中村は、急に天海から距離をつめられたため、「どうしよう。怒られるのかな…」と身構えたが、天海は中村にとって予期せぬ言葉を。
まず「あなたのこと好きよ」と声をかけ、続けてこう言ったのだ。
「でも、もっと自分に自信を持って。もうちょっと勉強して品のある言葉遣いをした方がいいんじゃない?」
これは7月2日に放送されたバラエティー番組『ダウンタウンDX』(日本テレビ系)にゲスト出演した中村が明かしたエピソード。中村は、天海が自分のことを考えてアドバイスをしてくれたことに強く胸を打たれたという。
恵まれたルックスに似合わず、がさつな言動をバラエティー番組で見せることも多い中村に、初対面ながらビシッと注意をした天海。人間関係コンサルタントの木村隆志さんは、今回の天海の一連の言動は、会社での部下や後輩、ママ友など対人関係において大いに役立つと指摘する。
「他人へのアドバイスは、言い方を間違えると逆ギレされたり、その後の関係がぎくしゃくしたりする可能性もあるんですが、天海さんの場合はいいお手本といえます。まず第一声が大事。最初の言葉で相手に身構えられるか、あるいは聞きやすい雰囲気を漂わせるかで大きく異なります。天海さんは“好きよ”という言葉から入っていますが、基本的には相手を肯定することが前提なので正解です」
さらに自分から歩み寄る姿勢も重要だが、芸能界では中村にとって大先輩にあたる天海のほうから駆け寄っているので、これも好感度大。
「好感度の高い状態で、一言目が肯定なので、相手は心が開かれた状態になるんです。人間って、気分がいい時に入ってくる情報って、全部いいように聞こえますよね? 逆に調子悪い時に入ってくる情報って、好きな人に対しても嫌いになりやすいものです。だから中村さんは、“天海さんは私のためを思って言ってくれている”と思ったのでしょう」(前出・木村さん)
さらに天海のようにシンプルなアドバイスは、相手の心にすっと入るという。
「最近の人は、逆恨みを恐れたり、自分を守るために、前置きが長くなって、本当に言いたいことがぼやけちゃう傾向があるんですが、天海さんは要点にしぼって堂々とアドバイスしています。こうしなさいという命令口調ではなく、心配というニュアンスや、そうしたらもっと素敵よという気持ちを含めると相手に伝わりやすいと思います」(前出・木村さん)
これらはあくまで1対1の関係の中で有効で、肯定→指摘→フォローまでが1セット。情が厚く、思いやりと優しさがなければただのKYおばさんになってしまう。
「誤解を恐れずに言う勇気だけじゃなく、相手に訴えかけなければ、ただの空気が読めない人になってしまいます。でも、天海さんは言い方が洗練されています。宝塚という女性ばかりの世界で生きてきた彼女だからこその熟成されたアドバイスができるのでしょう」(前出・木村さん)
※女性セブン2015年7月23日号