「スキニー」とは「ほっそりとした、痩せた」の意味。足に皮膚のようにぴったりとフィットして一回り細身に魅せてくれるスキニーパンツは今やファッション好きの若い女子だけでなく老若問わない人気アイテム。
6月23日、オーストラリアのロイヤル・アデレード病院の医師により、仰天の研究論文が発表された。そこに掲載されたのは、同病院に運び込まれた35才女性の恐怖の実例である。
ある日、彼女はスキニージーンズをはいて、家族の引っ越しの手伝いをしていた。食器棚から物を取り出すために数時間しゃがみ続けていた彼女は、自宅に帰る途中、ある異変に襲われた。足の感覚の一切が麻痺し、そのまま動けなくなってしまったのだ。
すぐに救急車で病院に運ばれた彼女だが、その両足のふくらはぎはパンツが脱げなくなるほど膨れ上がり、足は血液が循環していない状態で、膝から下の感覚がなく、爪先さえ動かすことができなくなっていた。
点滴治療を受け、結局、元通りに歩けるようになるまでに4日もかかったという。執筆者の医師は地元メディアにこうコメントしている。
「手当てが早かったので大事に至らなかったが、もし病院で適切な治療を受けていなかったら、彼女は神経障害により、これから一生歩行に支障をきたしていただろう」
論文では、この女性の症状を、血管が締めつけられて血液の循環が止まる「コンパートメント(筋区画)症候群」によるものだと診断し、スキニーパンツの着用に注意を呼びかけている。
この病気の恐ろしさについて、医学博士の狭間研至氏が解説する。
「血液が循環しなくなることで、酸素や栄養素がその部位に届かなくなり、最終的には筋肉や神経が損傷して、壊死してしまうんです。スキニーパンツをはいて膝を曲げていると、膝の部分がギュッと締まって、下腿部への血液の流れが止まってしまうことがあります。この女性も、長時間座り続けることで下腿部の血流が止まり、筋肉の壊死が始まりかけていたのでしょう」
コンパートメント症候群は、最悪の場合、壊死した部位を切断しなければならないケースもあるという。オシャレのために歩けなくなるなんて…。
「スキニーパンツ以外でも、ファッションが病気に繋がるケースは結構あるんです。エクステ(付け毛)で頭部がただれてしまうケースがあったり、タトゥーには感染症の危険が常に伴います。もっと簡単なところでは、気温や季節を無視した薄着ファッションがさまざまな病気に影響するという指摘もあります。ファッション性を重視しすぎることで病気になることを“オシャレ障害”と呼ぶ医師もいるほどです」(前出・狭間氏)
いつの時代も女のオシャレは命がけか!?
※女性セブン2015年7月23日号