日本による韓国の植民地統治には功罪あった。だが、韓国の人々が日本式の近代教育を受け、多くのことを日本から学んだことは事実である。しかし、戦後の韓国は日本を否定し、日本から学ぶことを拒み続けてきた。祖国の未来を憂う韓国言論界の重鎮、漢陽大学名誉教授の金容雲氏と作家の柳舜氏が「日本に学ぶことの意義」について意見を交わした。
柳:韓国で自国の批判をするのはとても勇気のいることですが、金先生はこのような企画に登場して大丈夫ですか?
金:ご心配ありがとうございます(笑)。私は日本から学ぶべきことはきちんと学ぶべきだと考えていますし、韓国の未来のためにも、この場であえて苦言を呈することにしました。まず指摘したいのは、韓国人は文化や道徳、倫理などすべての面において「日本より優れている」という思い込みがあることです。
柳:と言うよりも、韓国人には「日本より上にありたい」という願望があるのではないでしょうか。韓国人は、現実的に日本に追いついていないことを分かっているはずです。問題なのは、そうした願望が強すぎて事実を直視できなくなっているということです。
金:もちろん、韓国人もGDPなど数字で比較できる国力は日本より下ということを理解しています。一方で韓国人は「日本は儒教的に劣っている」という朝鮮王朝時代の観念を引きずっています。その日本に植民地支配されたばかりでなく、今でも国際社会での位置付けは「日本より格下」です。
そのため韓国では、この屈辱をいかに晴らすべきか、ということに執着し、日本から学ぼうという意識が希薄になってしまいました。
柳:いま、韓国は危機管理の在り方について問われています。昨年のセウォル号沈没事故を受け、私は「あの日、沈没したのは一隻の船ではなく大韓民国だ」と主張しました。韓国は、はたして国家の体を成しているのかと嘆いたのです。
今年はMERS(中東呼吸器症候群)騒動で、WHOから政府対応の遅れを指摘されました。これはとても恥ずかしいことです。