巨大市場・中国の「バブル崩壊」が始まった。ギリシャの債務危機をきっかけに起きた世界同時株安の余波を受けて上海、深センなど中国の株式市場では6月中旬から株価が急落。
欧米の投資家は、「ギリシャより上海だ」といち早く株を売り、この1か月足らずで中国株は約3割も下がった。時価総額にして実に416兆円が失われたのだ。その損失額は株価暴落で342兆円が消えた日本のバブル崩壊(1989年末)を上回る。
直撃を受けたのは中国のにわか投資家たちだ。中国市場の8割は市井の個人投資家が占めている。今春、政府が「株は上がる」と宣伝したことから個人が借金をしてまで株を買うバブルに沸いていた。
上海の金融街にある商店にたむろしていた個人投資家たちに取材すると、「株? 35万元(約700万円)くらい損したよ」(40代女性)「オレも20%ほど負けた」(50代男性)と口々に答えたが、取材を続けようとすると女性店主が記者に向かって、「あんたそうやって、いくら損したかを聞いて回るのはやめな!」と不機嫌そうに吐き捨てた。
にわか投資家の不安がこれ以上高まれば売りがさらなる売りを呼び、暴落に向かう可能性がある。危険を感じた中国政府は露骨に市場に介入、上場企業の半数以上の取引を停止させるという緊急避難でなんとか食い止めている。
※週刊ポスト2015年7月31日号