株式投資で退職金2000万円をわずか6年で100倍の20億円に! にわかには信じ難い莫大な成果を手にしたのが、ネット上で「今亀庵(いまかめあん)」のハンドルネームで知られる65歳の男性投資家だ。
まずは、その戦績をざっと振り返っておこう。リーマン・ショックに見舞われた2008年末に早期退職した今亀庵氏は、3000万円の退職金のうち2000万円を株式投資に回した。
「退職金に年金もあるが、60歳から85歳まで生きるとして、25年間それだけでやっていくのは不安がありました」
老後資金を確保するためとはいえ、虎の子の退職金を投じることを「家族にはまったく相談しないまま」の思い切った決断だった。
「リーマン・ショックは100年に一度の危機といわれましたが、裏を返せば、これ以上は悪くならない。私にとっては、まとまった資金を元手にありえない安値で株を買える“100年に一度のチャンス”でした」
2009年初めに目をつけたのが、J-REIT(不動産投資信託)だった。当時は価格が暴落していたことで「利回りが年率20%とか40%の銘柄がゴロゴロしていた」という。
その後の価格上昇で2010年半ばには元手を10倍の2億円に増やし、さらに2012年末からのアベノミクス相場の波に乗り、株投資も始めた。自己資金の約3.3倍の取引が可能となる信用取引も駆使して数十銘柄に投資するなか、中堅ノンバンクのJトラストの株価が3年間で20倍に膨らんだのを筆頭に大当たりが続いた。
そして日経平均株価が一時2万円をつけた今年4月、ついに資産は100倍増となる20億円に達したのだ。
現在はその約半分を100銘柄ほどに投資し、残りを現金化。東京・港区に自宅用土地と投資用物件を購入した。
何ともうらやましい限りだが、同氏の投資哲学は昔から変わっていない。
「学生時代に数十冊の投資の本を読み漁り、統計学的に小型成長株に長期投資すれば儲かることがわかりました。時価総額の大きい大型株だと、どうしても20%、30%といった大きな成長は望めないし、株価も大きくは動かない。成長率の高い小型株を3~5年持てば勝てる確率が高まる」
チャートだけを眺めて短期売買を繰り返すデイトレーダーとは一線を画す。相場の大きな波を読み、じっくりと持ち続けたからこそ得られた結果だというのだ。
※週刊ポスト2015年7月31日号