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愛猫の所有権めぐって新旧飼い主が裁判 欲深さが浮き彫りに

 ネットでも愛犬家、愛猫家自慢がいる。その犬、猫は「家族」なのだろうか。アメリカの猫の「所有権」を巡って起こされた裁判をきっかけに、これまで飼育したペットは200種類以上というコラムニストのオバタカズユキ氏が考える。

 * * *
 震度4でも崖崩れがおきかねない書棚の整理が悪すぎて探し出すまで2時間かかってしまったが、あったあったゴールデンハムスターのイラストが表紙の『ペットまみれの人生』。若い女性向け情報誌の連載ページの単行本化が1996年、文庫にしてもらったのが1998年。すでに古書でしか出回っていないのだけれど、私は昔そういうペット飼育エッセイ本を出したことがある。

 その本の中では36種類のペットらが登場している。ただ著者によるとそれは厳選した一部にすぎず、これまで飼育したペットは200種類以上に及ぶという。実家が熱帯魚をはじめとした動物飼育器具の卸売店で、幼少時から欲しいと思ったペットが入手しやすい環境にあったため、イヌネコ金魚インコ各種あたりはもちろんのこと、マニア向け専門店がなかった当時にフクロウやらグリーンイグアナやら今では環境省レッドリストに入っているニホンリスなども飼ったことがある。

 小学生時代の愛読書は布製カバーのぶ厚い動物飼育事典だった。無類のペット好きであったともいえる。でも、いつもどこかで思っていた。入手して、給餌して、手乗りにして、ものによっては繁殖させて、そして死んで……の繰り返し。結局、人間の気分で人間以外の動物の命をもてあそんでいるんじゃないか、みたいな。

 そういう意識がかろうじてあったからか、ペットに名前をつけても、「ちゃん」づけしたり、服を着せたり、「この子」呼ばわりしたりは嫌だった。飼育動物と人間の境がなくなることに気持ち悪さを感じていたのだろう。その距離感みたいなものは今でも変わっていない。

 先日、「CNN.co.jp」が〈不明の猫を7年ぶり発見、新旧飼い主で所有権争い〉というニュースを流していて、いろいろ考えていたら、そんな自分のペット観について久しぶりに思い出したのだ。

 ニュースによると、米国のカリフォルニア州で1匹の白黒猫を巡って2人の女性が裁判沙汰をおこしているのだそうな。ティファニーさんは2005年から子猫を哺乳瓶でミルクを飲ませて育ててきた。その猫が2007年、行方不明に。1000ドルの賞金をかけるなどして探しまくったが見つけることができなかった。

 野良猫として捕まったのか、その猫は2010年にテレスさんが保護施設から引取った。孫のようにかわいがったそうだが、2014年に診てもらった獣医師から猫にマイクロチップが装てんされていることを知らされた。テレスさんはマイクロチップ会社に電話で名前の変更を依頼、同社が前の飼い主のティファニーさんに登録情報の変更について電話連絡をした。そこから2人の猫好きの争いが始まった。

 ティファニーさんはようやく愛猫が見つかって嬉しかったに違いない。しかし、テレスさんは「5年間暮らした家から引き離されて新しい環境に置かれれば極度のストレスになる」と主張。結局、〈互いに正当な飼い主は自分だと主張して一歩も譲る構えはない〉裁判になってしまった。

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