総額1518億円もの利益水増しの「不適切会計」が発覚し、経営トップ8人が辞任する事態に陥った東芝。「チャレンジ」と呼ばれる“損益改善要求”による圧力から、経理の誤魔化しが相次いだのだ。今後の見通しについて、経済ジャーナリストの町田徹氏はこう分析する。
「東芝はメインバンクの三井住友銀行やみずほ銀行などに約5000億円の融資枠設定を打診している。昨年末時点で東芝には現金などが約2100億円あり、子会社が保有する株式を約1130億円で売却して手元資金を確保したため、課徴金を請求されたとしてもただちに資金繰りに行き詰まることはないでしょう。
痛いのは、ブランドイメージに傷がつき『東芝』を敬遠されること。特に危ぶまれているのが、法人顧客向けに大量に卸していたパソコンブランド『ダイナブック』です。性能では横並びのパソコン市場において、ブランドイメージが損なわれたことが相当な痛手になるのは間違いない」
東芝は昨年9月、パソコン事業の継続的な黒字を目指して、個人顧客から法人顧客への転換を加速させると発表し、その鼻息は荒かった。が、今回の問題で完全に裏目に出た形だ。
山積する課題をクリアして再生することができるのか。東芝の真の意味での「チャレンジ」が問われている。
※週刊ポスト2015年8月7日号