国際情報

タブーだった日本での春画展 細川護煕氏は「義侠心で開催」

「春画はポルノ」。そうしたレッテル貼りにより、日本ではタブーとされた美術展が、史上初めてこの9月に開かれる。会場は東京・文京区にある民間の美術館「永青文庫」。春画をメインに据えた日本美術史上初の試みだ。

 * * *
 江戸時代の人々の「性の営み」を大胆かつユーモラスに描いた春画。その原型は平安時代から存在したが、江戸時代、版画の普及をきっかけとして庶民の間にも広がった。葛飾北斎、喜多川歌麿など江戸期の著名な絵師のほとんどが春画を制作。海外ではアートとしての評価が高く、ゴッホやモネ、ピカソといった大家に影響を与えている。

 ところが、純潔、貞淑を重んじる西洋の性規範が浸透した明治以降の日本では、性愛に関する事柄は秘するものとなり、「春画は猥褻なポルノグラフィ」とされタブーとなった。これまで国内で開かれた展覧会での春画の扱いは小規模かつ限定的で、会場の一部をカーテンで仕切って展示するなど、他の美術作品から“隔離”されることが多かった。

 流れを変えたのは2013年秋、ロンドンの大英博物館が開催した展覧会「春画 日本美術における性とたのしみ」だった。春画ばかりを展示した会場には9万人近い人々が押し寄せ、英メディアも絶賛。日本でも巡回展の気運が高まったが、世間からの批判や警察の取り締まりなどを怖れた施設側が二の足を踏み、計画はいずれも頓挫した。

 そこで登場したのが細川護煕・元首相だ。同氏は細川家に代々伝わる美術品などの文化財を収集・展示する「永青文庫」での「春画展」開催を決断。記者会見で、「義侠心から開催を引き受けた。春画は代表的な芸術。タブーは破らないといけない」と強調した。
 
 9月19日から始まる同展では、絵師が自らの手で描き出した「肉筆」、色鮮やかな「版画」など計120点が展示される。北斎、歌麿、鈴木春信らの傑作に加え、狩野派の作品やポケットサイズの豆判版画まで揃えている。
 
※SAPIO2015年9月号

関連記事

トピックス

『ワイドナショー』でのコメントが炎上している安藤優子
《安藤優子キャスターの夫にも波及》フジテレビ問題、制作会社スタッフに広がる不安「“3割カット”からさらに削られる」
NEWSポストセブン
中居正広の“危うさ”を警告していた木村拓哉
木村拓哉、“中居正広の危うさ”を警告していた 女性への横柄な接し方を「改めた方がいい」と忠告するも中居は激高、2人の間の溝は決定的に
女性セブン
かつて中居との交際が報じられた、元フジテレビの中野美奈子アナ(時事通信フォト)
元フジテレビ超人気アナ・中野美奈子(45)に直撃 “フジ上納システム”はあったのか “中居正広との本当の関係”は?「今のアナはすごいストレスを感じている」
NEWSポストセブン
ダルビッシュ有と紗栄子の長男がモデルとして表紙を飾った
紗栄子の長男がモデルデビュー 英名門校に通う16才はスポーツには興味を示さない文科系男子の素顔、ゲームクリエイターになりたいとの夢も
女性セブン
裁判で大谷翔平の私生活を暴露した水原一平被告(時事通信フォト)
水原一平被告、裁判で暴露した大谷翔平の私生活“婚前契約”の存在も明かす 「24時間365日待機」「激務なのに低賃金だった」との主張を繰り広げる
女性セブン
ポケモンに笑顔を見せた佳子さま(時事通信フォト)
佳子さま、ゲームファンが歓喜した『ポケモン』プレイ済み発言 秋篠宮家は“ゲーム厳禁”の教育方針なのに「技を繰り出して捕まえたりもしました」
週刊ポスト
地元の知人にもたびたび“金銭面の余裕ぶり”をみせていたという中居正広(52)
「毎年フェラーリ買えんじゃん!」友人も驚く“貯金100億円説”の中居正広(52) “違約金貧乏”になる可能性は《弁護士がケース解説》
NEWSポストセブン
Aプロデューサーを知る加藤浩次
「俺が知っているアイツは、そんなタイプじゃない…」極楽・加藤浩次が答えた「フジ編成幹部A氏」の印象《フジ騒動直撃》
NEWSポストセブン
広島・大久野島でウサギを蹴ったとして逮捕された堀田陸容疑者(写真提供/うさぎ写真家uta)
《ウサギを蹴り飛ばして逮捕》容疑者は有名メーカー関連会社の社員だった 同僚は「口数は少なく、社内でもほとんどひとりだった。真面目で寡黙な人という印象」
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《水原一平の裁判資料で発覚》大谷翔平が激怒した「ギャンブルコラ画像」の販売「名声と善意を傷つけられた」検察は被告を「強欲」と糾弾
NEWSポストセブン
送検される矢口容疑者(時事通信フォト)
《長野駅前・3人連続殺傷》「警察? 呼べるもんなら呼んでみろ!」“水も電気も止まっていた”矢口雄資容疑者(46・無職)が正月に見せていた“奇行”
NEWSポストセブン
フジテレビの社長を辞任することを発表した港浩一氏(左/時事通信フォト)
《X子さん強制参加の誕生日会》フジ・港浩一社長が語った“編成幹部A氏関与”と「楽しませていただいてありがたかった」「思いが至らなかった」
NEWSポストセブン