誰でも手早くネットを通じて自分の情報を発信できるようになった一方で、自分の消したい過去や隠しごとが晒されたり、ネット上の掲示板で誹謗中傷を受けたりするなどの、名誉毀損やプライバシー侵害等のトラブルが急増している。ネット上に散らばった個人情報は、果たして自分の力で消せるのか?
実際に被害にあったらどうすべきか。「まずはサイトに削除要請をするべき」と、ネットと個人情報の問題に詳しい弁護士の神田知宏さんは言う。
「サイトのトップページには、『お問い合わせ』『サイトの管理者へのメール』などのリンクがあります。ここからメールを送って管理者に削除依頼をすれば、削除してもらえる場合があります」(神田さん)
管理人が削除依頼に応じなかったり、連絡先が不明だったりする場合は、そのサイトのサービスを提供しているプロバイダに削除依頼を行う。プロバイダがわからないときは、日本のドメイン(アドレス内に示される、インターネット上の住所のこと。日本のドメインは「jp」)の場合は「JPドメイン名登録情報検索サービス」(http://whois.jprs.jp/)で、海外のドメインの場合はその国の検索サービスなどで検索してみよう。
「管理者が日本人で、削除されない場合は、裁判所に『削除仮処分』を申し立てる方法も有効な場合があります。掲載されたサイトが多い場合は、グーグルなど大手検索サイトに『検索結果の削除』を求めると有効です」(神田さん)
削除仮処分は個人でも請求できるが、手続きが煩雑なため、弁護士に相談するといいだろう。また不要な個人情報は普段から削除しておくことが肝心。人に知られたくない情報はなるべくフェイスブックやツイッターなどに投稿しないようにすることだ。写真をSNSに投稿する人は、こんな落とし穴にも注意だ。
「スマホで撮った写真には、撮影場所の位置情報が記録されることがあります。これを利用すると自宅の場所などがわかってしまう。
スマホの設定で、写真の位置情報をオフにしましょう」(ITジャーナリストの三上洋さん)
何より重要なのは日頃からの心がけだ。
「ネットは忘れてくれません。SNSで『いいね!』をもらいたいといった自己顕示欲を持ちすぎず、普段からネットでの情報発信には細心の注意を払いましょう」(神田さん)
※女性セブン2015年8月20・27日号