2005年11月、当時の駐日中国大使、王毅氏(現外務大臣)は、東京・有楽町の外国特派員協会での記者会見で「中国は反日教育などしていない」と語った。
これは中国政府の公式見解だ。中国の言い分では、反日教育ではなく愛国主義教育を施した、ということになる。が、日本を敵国として青少年に反日を植え付け、愛国者に育てようとしているわけで、中身は同じことだ。
この方針を決定したのが江沢民主席で、1994年9月に「愛国主義教育実施綱要」を発表した。これにより、幼稚園から大学まで全教育課程で徹底した反日教育が始まり、「日本の軍国主義による犠牲者3500万人」や「南京大虐殺30万人」といった嘘を刷り込んだ。中国問題評論家の宮崎正弘氏がいう。
「その背景にあったのは1989年の天安門事件。共産党による支配体制に危機を感じた中共政府は、党への不満を外に向けるため、日本という敵を作り、中国を守るのは共産党だけだとして、求心力を高めようとしてきた」
※SAPIO2015年9月号